号外:”本物”のストローでプラスティックごみ削減
海洋プラスティック問題が世界的に注目されるなか、プラスティック製の「ストロー」は評判が良くありません。紙などの代替素材が開発され、徐々に普及していくのだと思います。ところで「ストロー」の語源はstraw = 「麦わら」です。麦わら帽子のことはstraw hatといいます。語源に戻ってプラスティック使用を削減しようという試みがスタートしています。
2021年7月19日付け日経ESG電子版に掲載された記事より、
”「ストロー」の語源である麦わらから作ったストローを普及させる取り組みが始まった。産官学民一体で設立した一般社団法人・広域連携事業推進機構が主催する「ふぞろいのストロープロジェクト」だ。麦の茎から作る麦わらストローは、プラスティック・ストローが普及する以前に使われていたもの。手作業で加工するため大量生産が難しく、プラスティック・ストローに比べてコストが高いため、現在は地域の名産品などとして売られている。”
“アサヒグループホールディングスは、グループ理念の行動指針に掲げる「事業を通じた持続可能な社会への貢献」の一環としてプロジェクトに参画した。重点領域とする「環境」や「コミュニティ」への貢献を目指す。グループが持つ技術やノウハウ、ネットワークを生かし、麦わらストローの生産性向上や情報発信を支援する。”
”プロジェクトの初年度は、製造方法や品質管理の確立、販路の開拓などに取り組む。まずは全国で1000万本を製造するのが目標だ。麦わらストローの加工工程の一部を福祉団体や就労支援施設に委託し、障害者の自立も支援する。社団法人の代表理事を務める大麦倶楽部(福井市)の重久弘美社長は、「3年計画で進め、初年度に目標本数を取れるように努める」という。2021年8月を目途に環境問題に積極的に取り組んでいる飲食店などに販売し始め、その後ECサイトでの販売も検討する。アサヒグループホールディングスでは、将来的にはビールの原料に使っている大麦からストローを作りたいとしている。”
いかがでしょうか。もうしばらくすると、私たちの身近にも麦わらストローが登場しそうです。プラスティックが一般消費財に大量に使用されるようになったのは第2次世界大戦後です。プラスティック・ストローの大量生産体制が整ったのは1960年代と言われていますから、そんなに昔のことではありません。プラスティック全体の使用量、あるいは海洋に流入している廃プラスティック量の中で、ストローが占める割合は微々たるものですが、プラスティックの使用を抑制し、廃棄量を削減することが必要であることはまちがいありませんから、対応可能なところから実行していくことは有意義なことだと思います。