号外:海面上昇:今世紀末に最大1メートル超
2019年9月19日日本経済新聞に掲載された記事です。
“地球温暖化がもたらす影響について国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめる報告書の原案が判明した。温室効果ガスの排出削減が進まないと、北極圏の氷が解けるなどして今世紀末までに海面が最大1メートルを超えて上昇すると予測した。高潮や洪水によって世界の10億人が危機にさらされ、2億8,000万人以上が家を失う。原案は各国政府にインフラ整備や防災対策の強化を迫る内容で、温暖化のリスクが改めて浮き彫りになった。”
“水没を恐れる島しょ国の脅威となるほか、沿岸部の大都市にも甚大な被害をもたらす。台風やハリケーンなどで陸地に海水が押し寄せ、広い範囲が浸水する危険が高まるためだ。このほか、山岳地帯の氷河も今世紀末までに少なくとも5分の1が消える。欧州の一部地域では氷河の8割が失われるという。IPCCの分析では、世界の平均気温は産業革命前からすでに約1度上がっている。”
かなりショッキングな内容です。世界の大都市の多くは、歴史的に海へのアクセスが良い沿岸の平野部にあります。日本でも東京、名古屋、大阪などはすべて沿岸部の都市です。昨年(平成30年)9月4日に非常に大型の台風21号が関西地区に上陸しました。上陸時の中心気圧は950hPa、最大風速は45m/sでした。関西空港(人工島)につながる橋にタンカーがぶつかり、橋が通行止めとなったために関空島が孤立して、多くの旅行客が閉じ込められる事態となりました。また高潮の影響で、神戸市、芦屋市、西宮市の沿岸部が浸水し、大きな被害がでました。私の自宅は幸い無事でしたが、自宅近くの公園で木が倒れたりしました。
このところ日本に影響を及ぼす台風が大型化しています。台風にはならなくても激しい集中豪雨で、毎年のように各地で被害がでています。これらは地球の温暖化により海水温が上昇したためと言われています。これからさらに海面が1メートル以上も上昇したら、いったいどうなってしまうのでしょうか。日本にも海抜ゼロメートル地帯はありますから、大きな問題になることは明らかです。オランダは海抜ゼロメートルの国です。南太平洋のキルバス共和国やツバル、インド洋のモルディブ共和国では海面上昇によって国が水没してしまうと言われています。これは明らかに持続可能性(サステイナビリティ)の危機です。手をこまねいている場合ではないと思います。