号外:カルビーがほれた新潟の大豆「一人娘」

こういう話題は大好きです。私はこの製品を食べたことはありませんが、機会があれば(オンラインショップ?)いただいてみたいと思います。

2024年5月16日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

青大豆「一人娘」

“日本海の離島、粟島(新潟県粟島浦村)産の青大豆「一人娘」が存続危機から一転、復活を遂げている。きっかけは、カルビー社員の一目ぼれならぬ「一味ぼれ」。スナック菓子の原材料として使うためカルビー自ら粟島で栽培を始め、2024年の生産量は最大で2023年比2倍を見込む。島内でのみ流通していた一人娘を、全国区ブランドへ育てていく。”

”「この豆、すごくおいしくない?」。カルビーのマーケティング本部ブランド戦略室の藤東亮輔氏が一人娘と出会ったのは2020年。スナック菓子「miino(ミーノ)」の商品企画会議で全国から取り寄せた数種類の豆を試食していると、素材だけで甘みがあり何度も手を伸ばしてしまう豆があった。産地は人口約330人の小さな島、粟島だった。粟島と長野県の一部でしか栽培されていない大粒で甘みがある希少な在来種だ。一人娘のように大事に育てられたことから名付けられたその豆は、他人に教えたくないほどのおいしさから「いうなよ」という異名を持つ。粟島では生産者の高齢化が進み、カルビーが試食した時点で年間生産量は約400キログラムと全盛期だった1980年代後半の7分の1以下。そのほとんどは島内で消費してきた。“

“新商品の原材料として採用するには生産量が少なく、そもそも存続自体も危うい。そんな状況を知り、カルビーは2022年から粟島で一人娘を栽培するプロジェクトを始めた。「カルビーの商品はジャガイモや豆など素材あってこそ。地域に眠る素材を掘り起こし、生産者とともに価値を磨き持続可能な農業に取り組んでいきたい」(藤東氏)。初年度の2022年は島北部の約4000平方メートルの耕作放棄地を開墾し、一人娘の栽培を始めた。2023年度は7300平方メートルに拡大し、一人娘の栽培面積としては島内最大となった。種まきや雑草取り、収穫時には体験ツアーを企画し全国から参加者を募集。島民との農作業や交流会などを通じ、これまでにカルビーファンや社員など延べ65人が来島した。”

体験ツアーの様子

“2022年のカルビーの畑の収穫量は約230キログラム。2023年は倍の420キログラムに増え、もともと島内全体で生産されていた規模に並んだ。収穫した豆を使った「ミーノ 一人娘」は当初1袋1500円で発売したが、生産量の増加で2024年4月には540円での販売が可能となった。現在、オンラインショップや新潟市内のスーパー「原信」などで購入できる。ソラ豆を使った通常のミーノに比べるとまだ3倍ほど価格は高いが「一人娘をブランド化し粟島を応援していくためにも、通常品と同じ価格での販売は考えていない」(カルビー)という。2024年は栽培面積をさらに増やし、最大900キログラムの収穫を目指している。”

「miino一人娘 しお味」

一人娘のプロジェクトは「商品を売る」という発想でなく「物語と体験を売る」ことに主眼を置いている。農作業ツアーは自費参加にもかかわらず約3割がリピーターだ。「いつも暖かく迎えてくれる第二のふるさと」「作業を指導してくれる島のおばあちゃんは家族のような存在」と参加者は口にする。リピーターが絶えないのは「粟島の最大の魅力は人と自然。ツアーではこの魅力を存分に体験できる」(藤東氏)ため。この体験に価値を感じ、わざわざ遠方から自費で来島する参加者が絶えない。”

島への恩恵も大きい。存亡危機にあった一人娘の栽培が増えているだけでなく、関係人口の創出や島の知名度向上にもつながっている。ツアー参加者の中には、移住を検討する人も現れたという。カルビーの畑の管理にも携わる粟島観光協会の松浦拓也事務局長は「一人娘ってこんなに価値があるんだと島民自身が気づかされた」と話す。高齢化で生産の担い手は減っているが、カルビーの取り組みを通じ「今後、島民や移住者の中から新たな担い手がでてくればうれしい」と期待する。”

“新潟市内のスーパーで売っていた「ミーノ 一人娘」を購入し、実際に食べてみた。香ばしいサクッとした食感で、シンプルな塩味は甘みの強い一人娘の素材を引き立てている。代々島で大切に育てられてきた”箱入り娘“が、島外の力も借りながら全国ブランドへと育つスター性を感じた。”

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