号外:アメリカ合衆国という国はどこへ向かうのか?

このHPのテーマとは関係ない話です。私は以前、家族共々アメリカで5年半程生活しました。米国は、所得格差(お金がなければ病院にも行けない国です)、銃規制の問題、人種差別や移民問題など様々な課題を抱えた国です。当時もそうでしたし、今も同様です。しかしその一方で活力に満ち、高い理念を掲げて世界をリードする国でもありました。幸いなことに私たち家族は米国での滞在期間中、大きな厄介ごとに遭遇することもなく、素晴らしい隣人たちに恵まれ、有意義な時間を過ごし、得難い経験をすることができました。課題が多いという意味では日本も同じです。天然資源に乏しく、食料自給率が低く、世界に先駆けて少子高齢化が進み、所得格差も拡大傾向です。世界の国々で課題のない国なんてありません。私が学生の頃は音楽や映画を通してアメリカの自由で先進的な文化に触れ、あこがれを持っていました。社会人になってからは多くのアメリカ人と、国籍や文化的な背景は異なりますが、同僚としてまたビジネスの相手として、一緒に仕事をすることができました。私にとってアメリカという国は、総じて好印象を持っていた国でした。しかし今年になって始動した新政権の3人の主要メンバー(トランプ大統領、バンス副大統領、イーロン・マスク氏)の最近の言動にはあきれ返っています。どうしてアメリカはこのような政権を選んでしまったのでしょうか。アメリカ国民の中にも、最近の自国政府の乱暴で品格のないやり方を苦々しく思っている人が大勢いるはずです。このようなやり方が長続きするはずはなく、やがては行き詰ることになるでしょう。ただ、何といってもアメリカは世界の大国です。アメリカが行き詰ってしまうと、日本を含めた関係国にも大きな悪影響を与えることになるでしょう。日本や欧州、世界の国々は、今こそ自立して世界を調整し、平和を実現していく気構えを持たなければなりません。少なくとも当分の間は、アメリカにこれまで果たしてきたような役割を期待することは賢明ではないようです。ゼレンスキー大統領、私はあなたを応援しています!。

2025年3月3日付け日本経済新聞電子版コラム「春秋」より、

週末、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が物別れに終わった。もっとおとなしく、下手に出ればよかったのに。平たく言うと、そんな論調でゼレンスキー大統領の「失敗」を指摘するメディアもある。でも個人的には全く違う感想を持った。”

よくぞ言った。フランス、英国のトップがトランプ詣でをし、作り笑いで親密さをアピールする映像にいささか辟易していたところ。大国風をふかせて恫喝する相手に、じっと耐えつつ一歩も引かないゼレンスキー大統領の姿に胸のすく思いがした。会談中、いちばん違和感を覚えたのはバンス副大統領の次の発言だった。”

“「あなたの国を救おうとしている米合衆国大統領に感謝を示しなさい」。助けてやっているのだから礼を言え。あからさまなマウンティング。トランプ氏もバンス氏も、小国の客人を見下して隠そうともしない。カメラの前で寛大・偉大な指導者ぶりを発揮しようと狙っていたのに、あてが外れて逆上したようにも見えた。”

祖国を背負うゼレンスキー氏の言葉には、重みがあった。「ウクライナに来たことはあるのか」。問われたバンス氏は、一瞬返答に詰まった。多大な犠牲を払って侵略者と戦ってきたのだ。後に禍根を残すうわべだけの合意などできるはずがない。この決裂を奇貨として、偽りではない和平が実現することを願うばかりだ。

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