生活者のサステイナブル購買行動調査:博報堂
2019年11月26日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より
“博報堂がこのほど実施した生活者の購買行動調査で、購入時には長期間使えるものを選ぶ人が9割に達した。不用品を人にあげたり売却したりして活用する人も多く、20~30代の女性では7割以上を占めた。購入は必要最小限(ミニマル)に抑え、資源を大切にするなど、持続可能性(サステイナビリティ)を重視する購買意識が増えていることが分かった。”
“調査名は「生活者のサステイナブル購買行動調査」。3月14~20日の期間にインターネットで実施した。全国の20~60代の男女が対象。有効回答数は6000人。”
“普段の買い物で気をつけていることとして「長く使えるものを買う」と答えた人が91%で最多だった。「すぐに新品を買い直さず、まだ使えるものは修理して使う」(77%)、「物を買うときには必要最小限の量だけを買う」(73%)と続いた。”
“「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」と答えた人は全体の60%だった。性別、年代別にみると30代女性が最多となり、73%となった。今後、買い物をする際に意識したいこととして「環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない」も82%と高かった。”
“持続可能性(サステイナビリティ)への意識が高まる一方で「国際フェアトレード認証」など、環境や社会に配慮した商品であることを示す認証ラベルへの認知や理解度は低かった。「認証ラベルがついていることに気づかないことが多い」「認証ラベルの種類がたくさんありすぎてよく分からない」との回答がそれぞれ76%を占めた。「認証ラベルの内容が分からないので参考になりにくい」との回答も7割に上り、認知度向上が課題であることをうかがわせた。”
このアンケート結果から、持続可能性(サステイナビリティ)を重視する購買意識が増えていることが読み取れます。日本の消費者の意識も少しずつ変化して、環境に配慮することの重要性(価値)への理解が広まっていることは、とてもうれしいことです。このアンケートはすべての商品・製品を対象にしたものですが、基本的な考え方は衣料品においても共通です。
いくつかのキーワードがあります。
①購入時には長期間使えるものを選ぶ(リデュース)
②ものを買う時には必要最小限の量だけ買う(リデュース)
③不用品は人にあげたり売却したりして活用する(リユース)
④まだ使えるものは修理して使う(リデュース、リユース)
⑤環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない(サステイナビリティ)
⑥環境や社会に配慮した商品であることを示す認証ラベルへの認知や理解度は低い
(PR不足 → 認知度向上への取り組みが必要)
消費者の視点からではなかなか把握しにくいのが、リサイクルに対する取り組みです。この点については、これまで以上に生産者(素材、製品製造企業)側からの働きかけが必要です。リデュースしてリユースすることは、消費者側でも比較的理解し易く、取り組みやすい部分です。しかしいったん生産されて市場に投入された製品は、リデュースしてもリユースしても最後は必ず廃棄物になります。したがって使用後の製品を回収してリサイクルすることは循環型の生産・消費社会(持続可能な社会:サステイナビリティ)を実現するために必要なことです。そのためには技術とシステムが必要になりますから、これは製品を製造した生産者が受け持つ部分です。もちろん消費者の理解と協力は必須条件ですから、生産者側で有効なシステムを構築し、それを消費者によく説明して理解してもらい、そして実施してゆくことになります。
今回のアンケート結果は、循環型の生産・消費社会(持続可能な社会:サステイナビリティ)を実現するために必要な「地ならし(消費者の認識)」が進みつつあることを示しています。大切なのは今後の生産者側からのリサイクルについてのさらなる働きかけだと思います。