号外:ユニリーバ、100%再生ポリエステル容器へ切り替え
2019年11月18日付け日経ESG電子版掲載の記事より
衣料品の話ではありませんが、日用品の分野でサステイナブルな取り組みが進んでいます。
“日用品や飲料のプラスティック製容器に再生材を使う動きが加速している。ユニリーバは2020年末までにすべてのペット容器を100%再生材に切り替える。ユニリーバ・ジャパンは2019年8月から、再生プラスティックを最大95%使った容器を採用する。先ず、「ラックス」「ダヴ」「クリア」の主力3ブランドから着手する。2020年末までには、ペット素材の容器をすべて100%再生プラスティックに切り替える。2010年から取り組んできた環境行動計画「ユニリーバ・サステイナブル・リビング・プラン(USLP)」の一環である。”
“ユニリーバは2017年1月にUSLPの新目標として、「プラスティック製容器をリサイクル・リユースできるものか、堆肥化(生分解)できるものにする」「使用する全プラスティックの25%以上を再生プラスティックにする」ことを2025年までに達成することを宣言した。2019年1月には、「ループ」と呼ぶイニシアティブ(後述)に参画し、容器をリユースする商品の通販にも乗り出した。”
“今回、国内で使用する再生ペット素材は、資源の争奪戦が過熱している。ペットボトル飲料を製造・販売する大手メーカーがこぞって、再生ペットボトルの使用を大幅に増やす目標を打ち出しているからだ。そうした中、ユニリーバは、「原料メーカーの協力もあり、向こう3年間必要な量は確保できている。」と言う。年間でペットボトル約5200万本に相当する量を安定的に購入することでメーカーと合意した。”
“再生材の使用でコストは数%上がるが、「サステイナブルな社会を作ることが、ユニリーバと市場がサステイナブルに成長するために必要だ。」と判断している。ユニリーバは100%再生材に切り替えことと並行して、容器のプラスティック使用量の削減に取り組んでいる。来春から、プラスティック使用量を従来比24%削減した容器を投入する。これによって、再生材のコスト増分を一部吸収できる。”
ユニリーバが製造・販売する日用品は、一般家庭に直結しています。このような分野で前述のような環境に配慮した取り組みを進めること、およびその取り組みを適切にメッセージとして消費者に伝えることは、社会全体としての環境意識(サステイナビリティ)の向上に貢献します。また再生材を使用すれば、その分コストアップになりますが、ユニリーバはそれを企業の社会的責任として負担するとともに、プラスティック使用量を削減する工夫で(このこと自体も環境に配慮した取り組みです。)吸収しようとしています。このような取り組みが色々な製品分野に、もちろん衣料品の分野にも、広がってゆくことに期待しています。
ユニリーバが連携している「ループ(Loop)」ですが、アメリカのリサイクル企業である「テラサイクル(TerraCycle)」が世界の大手消費財メーカー各社と共に運営する「循環型eコマースショッピングシステム」です。2019年1月のダボス会議で発表されました。「使い捨て依存からの脱却」を目指し、環境への負担を減らしながら、サーキュラーエコノミー(循環型社会、サステイナビリティ)の実現を推進しています。
Loopは、従来使い捨てされていた一般消費財容器や食品パッケージを繰り返し利用が可能な耐久性の高いものに変えることで、使用後の消費者の自宅から収集し、洗浄、補充(リフィル)した上で再利用(リユース)するシステムです。メーカーは、各ブランドのパッケージをより高価で優れたデザインを用いて製作することができる他、消費者にとっては、より利便性が高くカスタマイズされた製品を使用しながら、環境に配慮したサステイナブルな消費を選択することができます。Loopパッケージは可能な限り再利用(リユース)され、その後は再生利用(リサイクル)されます。
Loopに参画している消費財メーカーは、プロクター・アンド・ギャンブル、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバ、クロロックス、ザ・ボディショップ、コカ・コーラ、ダノングループ等です。さらに小売業者のカルフール、テスコ、貨物配送会社のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)等が参画しています。
Loopは、2019年春にアメリカ北東部、及びフランスにて試験的に実施されます。2019年から2020年にかけ、世界の主要都市の幾つかで試験実施の拡大が予定されています。日本では、2020年に東京での導入が決定しています。
*Loopの仕組み
購入:Loop WebサイトまたはLoopのパートナー小売業者Webサイトより登録の上、ごみゼロでよりサステイナブルな商品を注文。
受け取り:Loopのリユース式配送トートバッグに入った注文商品を自宅で受け取り。これにより、従来使い捨てされていた段ボール等の配送梱包材は不要。
利用:Loopパッケージに入った製品を利用。
返却:Loopカスタマーによるパッケージ洗浄・処分は不要。製品を最後まで使い切った後、Loopトートバッグに入れ返却。カスタマーの自宅へ配送業者が訪問・集荷。
洗浄:Loop技術開発チームが、各製品に合わせた洗浄方法を開発。安全なリユースを可能に。
リフィル・リユース・リサイクル:返却・洗浄されたLoop製品(容器)は、必要に応じて速やかに補充され、カスタマーのもとへ再度配送。かみそり、ブラシ、おむつ等のリユースが困難な使用済み製品はリサイクルされる。
テラサイクル(TerraCycle 本社:米国ニュージャージー州)は、「捨てるという概念を捨てよう」というミッションのもと、廃棄物問題に解決策を生み出す環境ソーシャルベンチャー企業です。大手消費財メーカー、小売業者、都市、施設と連携し、従来廃棄され埋め立て地か焼却所にたどり着くしかなかった廃棄物を回収しリサイクルする事業を、現在21ヶ国で展開しています。