衣料品の「3R」そして「4R」へ:リディース、リユースの重要性

このところ持続可能社会の構築や環境問題(サステイナビリティ)が話題になるときに、再生可能エネルギーや資源、そしてリサイクルについて議論されています。リサイクルに関係して「3R」という言葉をお聞きになったことがあると思います。「3R」はReduce、Reuse、Recycleの頭文字をとったものです。

Reduce(リデュース):使用済みになったものがなるべくごみとして廃棄されることが少なくなるように、ものを製造・加工・販売することです。言葉を換えれば、良い製品を大切に長く使用することによって廃棄物を削減するということでしょうか。

Reuse(リユース):使用済みになっても、その中でもう一度使えるものはごみとして廃棄しないで再利用することです。

Recycle(リサイクル):再使用ができずにまたは再使用された後に廃棄されたものでも再生資源として再生利用することです。可能な限りの資源循環ということでしょうか。

リデュースとリユースは使い終わったものを廃棄する前に考えることです。リデュースしてもリユースしても、いったん生産されたものは、いつかは廃棄物になります。しかし簡単に廃棄物にしてしまうのではなく、私たちの知恵を使うことで廃棄物を削減する、ないしは廃棄物の発生を遅らせることは可能です。大量生産して大量廃棄するライフスタイルとは逆の考え方です。初回でご説明したように、このところ日本国内の衣料品については残念ながら大量生産、大量廃棄の様相を呈しています。実は色々な事情で衣料品はリサイクル(廃棄後の再資源化)が難しい製品です。そうであればこそ、より一層リデュースとリユースを考えなければなりません。

3R+?

衣料品は生活必需品であると同時に、「ファッション」という言葉で表現されるようにひとりひとりの好みが反映される製品です。衣服としての必要条件を満たしていたとしても、みんなが同じような服装をしているというのは考えにくいですね。人間の多様性の表現の一環でもあります。誰もが、毎日あるいは毎シーズン同じような衣服を着ていたいとは思いません。購入後にある程度の時間が経過すれば、衣服は傷んでもくるし、デザインや色に飽きてもきます。新しい服が欲しくなりますよね。新しい服を購入すれば、それまでに着ていた服は着る機会が減るか、なくなってしまいます。その一方で、日本国内における古着ショップでの流通や、日本から海外への古着輸出が大きく伸長する状況にもありません。結局はタンス在庫となり、やがて廃棄されることになりがちです。

インターネットの利用

30年前と現在との最も大きな生活環境変化のひとつがインターネットの普及です。まさにこの期間に爆発的に普及し、生活の隅々にまで浸透しました。このインターネットを活用して古着売買のサービスが提供されています。気軽に出品でき、購入できますから便利なサービスです。しかし古着(現品)の売買ですから、売り手と買い手の信頼関係が大切です。しっかりシステムを整えて、新しい古着マーケットとして健全に定着してくれればと思います。これもインターネットを利用したサービスですが、衣服の短期間レンタルも普及し始めています。衣服の製品寿命のうち大部分をタンス在庫とするのではなく、似たような好みを持つ人をインターネットでつないで同じ製品の短期間レンタルを繰り返すことで、衣服の製品寿命を最大限に活用するというのは有効なアイディアだと思います。「いったん人が着たものは、着たくない」という感覚も理解できますが、サービス提供業者が製品管理をしっかりすることで、顧客の精神的なハードルを下げることは可能だと思います。またこのようなサービスでは衣服のコーディネート提案、あるいは靴やバッグを含めたトータル・ファッションの提案もあるようで、レンタル・サービスとしての幅と付加価値を高めています。

「買わずに(保有せずに)シェアする」という考え方は、車などの耐久消費財だけでなく、衣料品のような回転の速い日用品にも向いているのかもしれません。

衣料品におけるリデュースやリユースを「ものを大事にしなければもったいない」という精神論だけで語るのは無理があると思います(これはこれで非常に大切なこととは思いますが)。私が子供だった頃とは生活環境も生活水準も異なります。現在においては、インターネットのような新しい基盤技術を活用し、新しいサービスとしてリデュースやリユースを促進し、同時に利用者の利便性を高めてゆく方向でサステイナビリティを考えることが必要だと思います。個人的にはガレージセールやフリーマーケットの方に馴染みがあるのですが、色々なサービス、色々な機会が提供され、みなさんが自分に合ったスタイルで衣料品のリデュースやリユースに取り組んでいただければと思います。

「3R」から「4R」へという意見があります。4つめの「R」はReject(拒否)です。これから将来に向けて、人々の環境意識がますます高まり、各分野で「3R」が進展してくれば、「3R」に対応できない製品は消費者から拒否されて、市場から排除されるというものです。ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、環境問題への関心が高まるにつれて、その対策は全世界的にすべての生産・消費活動で考えてゆかねばなりません。衣料品もその例外ではありません。「実は色々な事情で衣料品はRecycle(廃棄後の再資源化)が難しい製品です。」と前述しました。次回はこの点について考えてみたいと思います。

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