号外:約90年ぶり54.4℃、地球はどこまで暑くなるのか?

残暑(?)お見舞い申し上げます。今朝(8月30日)のニュースでは、今日の大阪の最高気温は37℃と言っていました。最近、「危険な暑さ」という言葉を頻繁に聞きます。お昼前に近所のコンビニまで買い物にいったのですが、汗が吹き出し、めまいがしそうでした。昔は日射病、そのうち熱射病、今では熱中症です。只今、我が家では私の部屋を含めてエアコンが4台稼働しています。今月の電気代はいかほどになるのか気になるところですが、エアコンなしで生活できる暑さではないですね。

2020年8月24日付けNational Geographic電子版に掲載された記事より、

“8月16日、米国西部を熱波が襲い、カリフォルニア州デスバレーの気温は54.4℃に達した。これは1931年以来の最高記録で、世界の観測史上で3番目に高い。

“だが、地球の歴史をさかのぼれば、もっと暑い時代はあった。そして将来、再びそういう時代がくるだろう。その暑い時代は「温室期(ホットハウス・ピリオド)」と呼ばれる。現在の南極にあるような氷床が地球になかった時代で、大気中に温室効果ガスが過剰に供給され、地球の気温は現在よりもはるかに高かった。今のところそこまでは達していないが、人間が排出する炭素は地球の気候を変え、熱波はその頻度と激しさを増している。

“意外に感じる人もいるだろうが、地質学者に言わせれば、地球は現在「氷河時代(氷室期)」にある。その中で、極地の氷床が増えたり減ったりという「氷期/間氷期」のサイクルを繰り返している(今のところ、北半球の氷床は、グリーンランドまで後退している)。今よりはるかに暑い世界とはどのようなものなのか、それを垣間見るためには、少なくとも5000万年前の始新世初期にさかのぼる必要がある。それは、地球が本当に温室化していた最後の時期だ。”

現在、地球の平均気温は15.6℃前後だが、始新世初期には21.1℃ほどだった。地球は、別世界だった。極地に氷はなく、熱帯の海は35℃もあり、まるで温泉のようだった。北極にはヤシの木が生い茂り、ワニがうろついていた。さらに過去へさかのぼれば、より極端な温室期もあった。9200万年前、白亜紀の超温室期には、地球の表面温度は約29.4℃に上昇した。この高温の時期は数百万年も続き、南極の近くには温帯雨林が繁茂していた。”

“米スミソニアン協会の予備研究によれば、2億5000万年ほど前、ペルム紀と三畳紀の境には、極端な地球温暖化現象が発生し、地球の平均気温は32.2℃前後を推移する期間が数百万年も続いた。その地獄のような時代に、地球は史上最悪の大量絶滅を経験した。熱帯の海は熱い風呂のようだった。ペルム紀の日々の気象データは知る由もないが、超大陸パンゲアの乾燥した内陸部では、先日デスバレーを襲ったような熱波は日常茶飯事だった可能性が高い。平均気温が高いほど、極端な熱波がより頻発するようになる。”

“地球の温室期には、どうやら1つの共通点がある。温室化に先立ち、膨大な量の温室効果ガスが大気中に放出されていたことだ。それは、火山の噴火で吐き出される二酸化炭素だったり、海底下から噴き出すメタンだったりした。現在、人間は、これと同じことを地球規模で実験しているようなものだ。私たちは、埋蔵されていた膨大な量の化石炭素を燃やし、大気中の二酸化炭素濃度を上昇させている。そのペースは、恐竜が絶滅した6500万年前以降、いや、おそらくそのはるか昔からでも、見たことのない速さだ。

“過去の急激な気候変動を見ると、たいてい、私たちが今日行っているのと同様のメカニズムで起きている。温室効果ガスの濃度が、かなり急速に変化しているのだ。近年の記録的な気温上昇は、人の影響なしでは、ほぼ起こり得なかったと結論付ける研究が相次いでいる。私たちが大気中に炭素を排出し続けると、地球はどこまで暑くなるのか。正確に予測することは難しい。将来の熱波の気温の上昇幅は、どれほど遠い未来を予測するか、どれだけ多くの二酸化炭素を私たちが排出するかによって大きく左右される。”

“最近の研究では、私たちが炭素排出量をまったく削減しない場合には、今世紀の終わりまでに、米カリフォルニアの熱波の最高気温は、現在よりも約5.6~7.8℃高くなる可能性がある。今は54.4℃で済んでいるデスバレーの熱波の気温は、温室効果ガスを大量に排出した未来においては約60℃になると言われている。”

“だが、はるか未来の地球の運命に比べれば、5℃や10℃の上昇は取るに足りないことかもしれない。太陽は歳をとるにつれて明るくなる。地球の表面は熱くなり、やがて海はストーブの上に置いた水みたいに煮えたぎるようになると、惑星科学者が昔から予測している。強力な温室効果ガスである水蒸気が大気中に流入し、「暴走温室効果」の引き金となる。そうなれば10億年後、地球は、となりの金星と大して変わらない姿に変わってしまうかもしれない。金星は、硫黄を含む有毒な厚い大気に覆われていて、表面の気温は475℃程度だ。

現在の私たちは、「埋蔵されていた膨大な量の化石炭素を燃やし、これまでに見たことのない速さで大気中の二酸化炭素濃度を上昇させている」のです。地球の長い歴史から見れば、産業革命後の人間の歴史など、ほんの瞬間に過ぎません。人間にとってはある程度の時間を要しながら、しかし地球や自然環境にとっては非常に急激に状況が悪化しています。過去に地球が温室化していた時期の気温が数百年も続いたら、人類の文明なんかは消し飛んで、人類は絶滅してしまうでしょう。私たちは、そのような悲劇的なゴールに向かってひた走っているのかもしれません。

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