号外:アマゾン、縮む熱帯雨林の続報

アマゾンの森林火災>を参照

2019年8月28日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より。

“ブラジルのアマゾン熱帯雨林で違法伐採や森林火災が止まらない。欧州諸国がブラジルに対する事実上の経済制裁を持ち出すなど、国際問題になっている。一方、アマゾン周辺地域に住むブラジル国民にとり、森林開拓は生活の糧を得る手段だ。

“2000年代に入り新興国の雄として高成長を遂げたブラジルだが、産業は南部に集中し、北部(アマゾン)はいまだに貧しいままだ。現地に住む人々にとっては「地球の酸素の20%を作り出すアマゾンは地球共有の財産だ」という先進国からの言葉は、現実からかけ離れたきれい事でしかない。

“経済振興のためにアマゾンの開発を推進するブラジルのボルソナロ政権に対して、欧州は自由貿易協定(FTA)合意の見直しや牛肉の禁輸など、事実上の経済制裁を示唆。ボルソナロ大統領は23日、国際世論に屈する形で違法伐採や森林火災対策として軍を派遣すると表明した。”

地球の酸素の20%を作り出すアマゾンの熱帯雨林で、火災や伐採で森林面積が減少していると聞くと、これは大変なことだと思います。しかしアマゾン周辺地域に住むブラジル国民にとっては、森林開拓が生活の糧を得る手段だということになると、ただ伐採や焼き畑を非難するだけでは問題の解決にならないことがわかります。フランスのマクロン大統領は8月下旬にフランスで開かれた主要7か国首脳会議(G7サミット)で2千万ドル(約21億円)の緊急支援の取りまとめを主導しましたが、アマゾンを保護すべきだという欧州の主張に対して「内政干渉だ」と反発するブラジルのボルソナロ大統領は、緊急支援の受け取りを拒否しました。双方の意見はかみ合わず、ブラジルと欧州の対立が深まっています。

同8月29日の記事ですが、

「ティンバーランド」や「バンズ」等を手掛けるアメリカ衣料品製造大手VFコープは、「我々の製品に使われている素材が環境被害にくみしていないと確信できるまで、ブラジル製の皮革を調達しないことを決めた」と表明した。ブラジルメディアは、ティンバーランドやバンズを含む少なくとも18ブランドがアマゾンの火災を理由にブラジル企業への発注を停止したと報じた。”

ブラジルのボルソナロ大統領は、森林火災対策のため、アマゾンに関係する南米諸国を呼ぶ国際会議を9月6日に開くと発表しました。今後の状況の推移を見守るしかないのですが、非常に難しい問題だと思います。地球というマクロ環境に対するアマゾン熱帯雨林の重要性と、現地に住む人々の日々の生活を天秤にかけても答えは出ません。ブラジルと欧米が政治的に対立して、駆け引きしても同じことです。欧米ブランドのブラジルとの取引停止は、自社ブランドのイメージ低下を避けるためで、私企業としてはしかたのない選択なのでしょうが、このことが問題を解決するとも思えません。非難の応酬をいくら繰り返しても状況は改善されませんし、むしろ時間の経過とともに状況は悪化してゆくでしょう。言い古された言葉ですが、同じ地球号に乗り合わせた仲間として、協調して問題の解決、少なくとも緩和に努力するしかありません。本当にけんかしている場合ではないと思います。

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