人権調査指針でILOと連携、繊維団体が覚書締結

繊維産業に限らず、グローバルに生産・調達している企業にとって、サプライチェーン上での人権侵害リスクは早急に対応しなければならない課題です。10月には主要7ヶ国(G7)貿易相会合で、国際的なサプライチェーンから強制労働を排除する仕組みづくりで合意しています。中国政府による新疆ウイグル自治区での人権侵害(強制労働)について、欧米の企業や市場は深刻な懸念を表明しています。日本国内で働く技能実習生の問題は、まさに日本国内での問題です。しっかりと対応して人権侵害リスクを排除しなければ、自社の企業価値やブランド価値を毀損し、世界の市場から排除されることにもなりかねません。

2021年11月4日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

繊維産業のサプライチェーン(供給・調達網)の人権侵害リスク排除に向け、日本繊維産業連盟(繊産連)と国際労働機関(ILO)が11月5日に覚書を締結する。2022年7月をめどに、国内の繊維関連会社を対象にした強制労働排除のための対応指針を策定する。覚書の締結には経済産業省も立ち会う。繊維産業を巡っては、新疆ウイグル自治区で疑われる中国当局による人権抑圧や、日本国内で働く技能実習生の問題が指摘されている。

”企業がサプライチェーン上の人権侵害を把握して予防する「人権デューデリジェンス(DD)」を促進する。経産省は7月、繊維産業に人権侵害対策などを求める提言を含む報告書をまとめていた。これから策定する指針ではILOと連携して、繊維関連会社が自社で働く労働者に対して、適切な勤務時間の順守や強制的な残業の有無など、人権を守る対応を確認する項目を作成する。国際労働基準局や経済協力開発機構(OECD)による指針で求められる水準を目指す。”

”海外アパレル大手は取引先企業に対して人権侵害がないか開示を求めるケースがあるとされる。日本企業の対応が遅れれば、世界的な供給・調達網から外されかねない。

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