ユニクロ・無印良品、中国の休業店舗半数に:新型肺炎の経済への影響拡大

中国湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が止まりません。感染症の拡大による健康被害だけでなく、春節明けの中国では経済活動にも大きな影響が出ています。日本企業への影響も徐々に大きくなってきています。日本でも、横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で日本人を含む多くの感染者が確認されました。現在も多くの乗客が船内に留まっており、今後が見通せない状況が続いています。

2020年2月7日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より

“中国に進出した日本の小売企業で、新型コロナウイルスによる肺炎の影響が拡大している。「ユニクロ」と「無印良品」の休業店舗数はいずれもこの1週間で倍増し、中国全体の半分に達した。両社は生産面でも中国依存度が高く、業績への懸念も強まっている。”

ユニクロと無印良品

ユニクロの休業店舗数は7日午前までに約370店となり、1月31日時点の約160店から2倍以上に増えた。中国にある全店舗750店(2019年12月末)のほぼ半数に当たる。無印良品の休業店は6日までに138店まで広がった。1月31日時点では59店だった。中国全体の店舗数は約260店。中国当局が感染拡大を防ぐため、内陸部を中心に商業施設の営業自粛を要請していることなどを受けたものだ。”

ユニクロ上海店

“新型肺炎を巡る混乱はサプライチェーンを通じて中国以外での事業にも影響する可能性がある。経済産業省によると、日本で販売される衣料品は97%が輸入品で、6割程度は中国からと見られている。中国政府は企業に9日までの生産停止を要請しているが、いつ再開できるかも焦点になりそうだ。関係者は「春夏用の商品はもう生産に入っており在庫もあるが、秋冬用には影響が出る恐れがある」と話している。”

衣料品以外の分野でも影響が出てきています。日産自動車は九州の完成車工場の稼働を一時停止します。新型肺炎の影響で中国から部品を調達しにくくなっているためです。中国では10日から半月ぶりに工場などの操業を徐々に再開しましたが、自動車関連の生産が正常化するには時間がかかると言われています。日産自動車では、湖北省の工場はこれまで14日からの再稼働を目指すとしていましたが、これを20日以降に延期します。10日以降の再開を目指していた広東省などの工場も、稼働を17日以降へ遅らせることになりました。

トヨタは10日から、エンジンなどを生産する下山工場(愛知県みよし市)などの生産ラインの一部を停止しました。中国にある4つの完成車工場は稼働を止めており、連動して中国向けにエンジンなどを生産しているラインの一部を停止しました。トヨタは天津市や四川省などの4工場で最短10日の再開を目指していましたが、17日以降に再稼働を延期しました。再開時期については新型肺炎の感染拡大や部品調達の見通し、従業員の出勤可否や物流などの状況を総合的に見て判断する予定です。

中国は大きな生産現場であると同時に大きな消費地です。感染症(新型コロナウイルス肺炎)の影響で、人や物の動きが滞っています。その影響は経済活動の色々なところで顕在化しています。日本の観光地では、中国人旅行者の激減により(中国政府は中国からの海外団体旅行を停止しています)大きな打撃を受けています。中国人観光客の予約を受けていた観光バス会社では、予約がほとんどキャンセルになり、従業員の賃金カットや希望退職者の募集といった事態にもなっています。感染の拡大やその影響がいつまで続くのかについては、現時点では全く見通せていません。感染拡大のピークはこれからだとする専門家もいますが、できるだけ早く終息して欲しいと願っています。2003年のSARSの時には、終息宣言がでるまでに半年以上かかりました。今回の新型肺炎の感染拡大は、SARSの規模を上回っています。日本では夏場にオリンピックとパラリンピックの開催を控えています。アスリートの祭典に影響が出ないことを願ってやみません。

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