ユニクロ、リサイクルダウンにかける本気

以前にこのHPでユニクロと東レが協力してダウンジャケットをリサイクルする企画について取り上げました。いよいよ製品が店頭に並ぶことになりました。

ユニクロと東レが挑むペットボトル・古着再生服>の項を参照

ダウンジャケットは、一昔前まではなかなか手が出ない高級品でしたが、このところユニクロの成功もあって、身近な冬の防寒衣料として定着しました。軽くて保温性に優れるダウンは、非常に貴重な天然素材です。その優れた素材をリサイクルすることは、大変有意義なことだと思います。

2020年9月18日付け日経ビジネス電子版に掲載された記事より、

“ユニクロは、店頭で回収した中古のダウンジャケットの素材をリサイクルした、男女兼用のジャケットを11月2日に発売すると発表した。取り組みを後押しするのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。ユニクロは、「コロナ禍で持続可能性に対するお客様の意識は飛躍的に高まった。」と認識し、同時に「サステイナブルでないと、本業自体生き残れない。」との危機感を示している。”

ユニクロのリサイクル・ダウンジャケット

“リサイクルダウンを使ったジャケットは、「ユニクロ ユー」のラインから発売する。価格は7,990円(税抜き)で、ユニクロの通常ラインのダウンジャケットの価格帯と大きくは変わらない。回収した製品を再び使うために切断、分離、洗浄などの手間が掛かるリサイクルダウンは、生産コストが新品の素材より高くなる傾向があるが、ユニクロは商品単体で利益が出る価格だとしている。それを可能にしたのは、ダウンの切断や素材の分離、回収までの工程で使う東レが開発した専用機だ。従来の手作業に比べて50倍の速さで処理できるようになり、「イノベーションを起こすことで、リサイクル素材の商品でも高品質でリーズナブルというユニクロらしさを実現したい。」としている。”

商品の素材に使ったのは、ユニクロが昨年秋から今年春にかけて店頭で回収した中古のダウン製品だ。回収したダウンは計62万着に上り、想定以上の枚数だった。ユニクロは「多くのお客様が服をもう一度使ってほしい、役に立てて欲しいと言っているのではないか。」とみる。こうしたことからもサステイナビリティに配慮した製品の需要は高いとみているようだ。”

“ユニクロは2006年から、回収した服を状態に応じて難民への支援物資としたり、固形燃料化したりする取り組みを進めているが、服の素材として再利用するのは初めて。回収した服から再び商品を作る取り組みを「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」と名付け、ダウン以外でも計画しているという。大手アパレルブランドではZARAやH&Mが店舗で衣類を回収しているが、作り直さずそのまま衣類として使うか、必要な処理をして自動車の内装などの素材として使うなどしており、自社製品への再利用はうたっていない。”

ユニクロは9月下旬から海外20ヶ国・地域でもダウンの回収を順次始める。「数量が増えて効率が改善できればコストメリットが出てくる。回収にかかるロスや無駄をなくして安定供給できるか、トライしていく。」と意気込む。ユニクロほどの規模で再利用の動きが広がれば、服から服への資源循環が本格的に進むことになる。

このHPでも取り上げてきたように、衣料品は様々な素材の組み合わせで作られているため、「服から服への資源循環」が非常に難しい製品です。しかし、ダウンジャケットという特殊な製品についてですが、「服から服への資源循環」が実現すれば、衣料品リサイクルが拡大してゆくきっかけになるのではないかと期待しています。それにしても、従来の手作業に比べて50倍の速さでダウン製品の切断や素材分離、ダウンの回収まで行う「東レの専用機」というのは、どのような機械なのでしょうか。非常に興味のあるところです。

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