号外:住宅向け太陽光発電は売電から自家需要最大化へ
2021年10月27日付けSustainable Brands Japanに掲載された記事より、
”住宅向け太陽光発電システムは、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)価格の低下をとらえ、売電を主としたものから、蓄電池などを活用した自家需要に重きを置く傾向が明確化してきた。2050年カーボンニュートラルに向けて住宅の脱炭素化は必須であり、今年8月に国土交通省などの有識者検討会では2030年に新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を設置する方針が示された。しかし、FITでの売電価格が消費者への訴求力に欠けるようになってきたため、新電力からは蓄電池付き太陽光発電プランが続々発表されている。Looop(東京・台東)は太陽光発電システムに加えて新型蓄電池を導入することにより、家庭で発電した再生可能エネルギーを夜間にも使うほか、給湯など熱需要にも活用して自家消費率を最大化する新サービスを10月14日からスタートした。リース契約で初期投資を抑えているのが特徴だ。”
”日本のCO2排出量のうち、住まい(家庭部門)からのCO2排出量は16%に当たる(国立環境研究所)。脱炭素のためには、省エネや断熱が必要なことはもちろんだが、住宅でエネルギーを生み出す仕組みを付加することが重要だ。しかし、そのポテンシャルは大きいものの、現在、太陽光発電設備を付帯する戸建ては全体の9%(太陽光発電協会調べ)に留まっている。さらに、2021年の売電価格は2012年の42円/kWhから19円(10kW未満の設備)まで徐々に下がり、2030年には7円程度になるのではと推測されている。”
“一方で、国土交通省などの有識者検討会では2030年に新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置する方針が示され、東京都も新築の戸建てやマンションを対象に太陽光設備の義務化を検討している。そのため、今後はユーザーに設備のコストメリットを訴求することが難しくなるため、発電した電気をなるべく余すことなく使い、家庭で使う光熱費を削減しつつ、家庭からのCO2排出量を減らすという自家消費が注目される。”
”そこで、独立系電力小売りのLooopは10月14日、住宅の脱炭素を解決するサービスとして、太陽光発電システムに加え、蓄電池を導入することによって、家庭で発電した再生可能エネルギーを夜間にも使い、自家消費率を最大化するプラン「とくするソーラー蓄電池付きプラン」を発表した。同社は、太陽光発電と新型蓄電池「エネブロック」の製品開発からシステム開発、施工、電力小売りまでを自社で行うことで、ユーザーに設備の導入費用を上回る経済メリットを生み出すとしている。
”また、電気とガスのいずれでも給湯が可能なハイブリッド給湯器を設置し、余剰電気での給湯も可能とすることで、熱需要への利用を可能にしたことも特徴のひとつだ。新型蓄電池「エネブロック」はDVDデッキほどのコンパクトな大きさで、屋根裏やクローゼット内など置き場所を選ばず、住宅環境に合わせて容量を増減できる。同社は「ユーザーのコストメリット、災害対策、住宅の脱炭素化の3つを解決するサービスだ」と説明している。”