号外:石炭利用で創る循環型社会:CO2ゼロ・エミッション工業園区

2019年9月18日の日経ビジネス電子版に掲載された記事です。

石炭を発電ではなく化学品の原料として使う。中国陜西省・楡林市は2025年までに総額5,000億人民元(約7兆5,000億円)を投じる巨大な石炭化学コンビナートを擁する工業園区の建設に着手した。このプロジェクトは、単に化学品を生産するだけではなく、そのプロセスで副産物として得られる水素を、新たに工業園区に隣接させてこれから作る人が生活する街区のエネルギーとして利用する。さらに、風力や太陽光を利用する発電所を周囲に建設し、水の電気分解によって水素を増産し、本格的な循環型社会の実現を視野に入れる。

CO2排出の元凶とみなされる石炭ではあるが、化学品の原料とすればそれだけで発電の場合の1/10に排出量を減らすことができるようになった。楡林では、それでも排出するCO2を捕獲し、再利用する計画に取り組んでいる。石炭利用で、CO2ゼロ・エミッションの工業園区の実現を目指している。

石炭利用による循環型社会 
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まあ、この記事を見た時には驚きました。中国のやることはスケールが大きいですね。CO2ゼロ・エミッション工業園区が実現すれば非常に素晴らしいことだと思います。中国西部は良質な石炭鉱に恵まれ、炭鉱に近接させて化学コンビナートを作れば、サウジアラビアで石油利用の化学コンビナートを建設するよりコストを抑えることができ、また周囲には塩やマグネシウムなど化学品原料も豊富にあるとのことです。石炭は埋蔵量が多く安価なため、火力発電の燃料として使われることが多く、大量のCO2を排出して色々と批判されることが多いのですが、このような使い方も可能なのですね。こうなると非常に貴重でサステイナブルな資源です。

日本で同様の施設を作るのは難しいのかもしれませんが、少なくとも日本にとっても、環境に配慮した循環型施設で生産された安価な基礎材料を、中国から(お隣の国から)入手できればメリットは大きいと思います。また日本企業が現地に進出して、安価な基礎材料を利用して、高機能化学品の事業を展開する可能性もあると思います。実際に日本企業の進出が期待されているようです。今後の続報に注目してゆきたいと思います。

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