号外:新型コロナウイルス感染症からの「グリーンリカバリー」

新型コロナウイルス感染症で世界の社会や経済が大きなダメージを受けています。そこからの復興のために各国政府は莫大な資金供給を計画しており、各企業も具体的な対応に知恵を絞っています。その際の基本的な考え方として「グリーンリカバリー」が注目されています。

2020年5月27日付けSustainable Brand Japanに掲載された記事より、

“新型コロナウイルス感染症によって影響を受けた社会や経済を、脱炭素、循環型経済など持続可能な方法で復興しようとする「グリーンリカバリー」の機運が欧米を中心に高まっている。ネスレやユニリーバ、IKEA、セールスフォースなど155社のCEOはこのほど各国政府に対し、2050年よりも早期にCO2の排出量を実質ゼロにする気候変動対策を踏まえた復興策を求める共同声明を発表した。「人間が健康であるためには地球が健康でなければならない。グレーな経済からクリーンな経済へ」と呼び掛ける。155社はSBTi(科学的根拠に基づくCO2排出量削減目標イニシアティブ)に加盟しており、日本企業は丸井グループや前田建設、YKK、高砂香料工業の4社が入っている。”

“5月13日には、米国のNPOセレス(Ceres)が主導したバーチャル・アドボカシー(政策提言)・イベント「LEAD on Climate 2020」を通して、ダノンやマイクロソフト、ナイキ、VISAなど300社以上が上院・下院議員に対し、新型コロナウイルス感染症後の社会において、よりレジリエント(回復力のある)で持続可能な経済基盤を構築するよう求めた。これに続き、5月19日、グローバル企業155社のCEOが感染症後の経済支援や復興への取り組みを最新の気候科学と整合させるよう共同声明を発表した。署名した155社の時価総額は2兆4000億ドルを超え、従業員数は500万人以上に達する。”

今回の声明は、各国政府が新型コロナウイルスのパンデミックによる影響から経済を回復させるために、数兆ドルにもおよぶ景気刺激策をどう振り分け、新たな政策や戦略を実行するか決めようとしている最中に発表された。これからの数週間で、欧州連合(EU)の復興計画、米国とインドからの新たな刺激策、6月のG7首脳会議など、いくつかの主要経済国が復興のための重要な決定を下すことになる。”

“今月初めに発表されたオックスフォード大学の研究によると、新型コロナウイルスと気候危機に同時に取り組む回復策は、大きな効果を発揮するという。社会や技術の急速な変化に適応できないショックや災害に対する脆弱性を低減させ、雇用を創出し、CO2の排出量を減らし、大気中の汚染物質の量を大幅に改善すると分析している。”

“「世界経済を再起動させるだけでなく、リセットすることが急務だ。10-20兆ドルの公的資金を費やして、以前のような不平等で脆弱で高炭素経済を再構築してしまうのは悲劇的なこと」と、世界資源研究所(WRI)の社長兼CEOでSBTiの理事でもあるアンドリュー・スティアー博士は語っている。「155社のリーダーに拍手を送りたい。これらの企業は自社のリセットに取り組むだけではなく、気候に配慮した政策がより多くの雇用を創出し、レジリエントで包括的な経済成長を生み出すことを示す最良の科学と経済学に照らして、各国政府が行動することを求めている」”

“昨年10月に開催された、気候変動に取り組む主要都市の集まり「C40(世界大都市気候先導グループ)」の世界市長会議では、94の主要都市の知事が世界的な気候変動の緊急事態を認識し、レジリエントな経済の構築に向けて世界をリードするために「グローバル・グリーン・ニューディール」を支持すると発表した。C40は5月7日、38の加盟都市が「新型コロナウイルスからの経済復興において、これまで通りのビジネスには戻らない。より良く、より持続可能で公平な社会を構築する」と宣言している。残念ながら、日本の都市は入っていない。”

C40のサイトを見ると、日本からの東京都と横浜市を含めて、現在は世界の96の大都市が加盟しています。残念ですが、東京都も横浜市も上記の宣言には加わっていないようです。

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