号外:豪雨日常化、牙むく梅雨

私が子供の頃、梅雨の雨といえば、じとじとと一日中降るような雨でした。しかし最近の梅雨の雨は集中豪雨のようになってきました。毎年のように梅雨時期から夏場にかけて集中豪雨や大型台風が各地に大きな被害をもたらしています。今年も九州地区や岐阜県、長野県で水害が発生しています。「今までに経験したことのない雨量」、「50年に一度の大雨」といった表現や、「大雨特別警報」や「線状降水帯」という言葉を連日のように目に、耳にするようになりました。

2020年7月10日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“活発な梅雨前線による「令和2年7月豪雨」の被害が広がっている。九州の豪雨は同じ場所で次々に積乱雲ができて列をなす線状降水帯が原因だった。岐阜や長野の雨は太平洋からの暖かく湿った風が山にぶつかり、発達した雨雲がもたらした。しばらくは全国のどこででも豪雨は起きうる。長期の温暖化傾向により、豪雨の「常態化」がさらに進みそうだ。

九州で球磨川の氾濫などをもたらした線状降水帯は、南シナ海や東シナ海から流れ込んだ大量の水蒸気によってできた。小さな低気圧の影響もあって九州付近で風がぶつかりあい、強い上昇気流が起きて次々に積乱雲を発生させた。7月3日夜~4日午前の豪雨の際に九州付近の上空に入った水蒸気量は、2017年7月の「九州北部豪雨」と同等かそれを上回る規模だったという。”

“7月8日に岐阜や長野を襲った豪雨は線状降水帯ではなく、梅雨前線の南側を前線に沿うように南西から北東へ動いた雲によって起きた。太平洋高気圧の縁沿いに吹く南西風に乗って暖かく湿った空気が日本に運ばれ、山岳地で強い上昇気流となって積乱雲を発達させた。

近年、多量の水蒸気が日本付近に流れ込むケースが目立つ。2018年の「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」で九州などに入った水蒸気量は過去最大だったことが気象庁の解析でわかっている。2019年10月の「令和元年台風19号」の際も台風本体の雲とは別に「大気の川」とも呼ばれる水蒸気の太い流れが東側にでき、強い雨をもたらした。なぜ水蒸気の強い流れが生じやすくなったのか。詳しい観測や解析ができるようになったのは最近で、不明な点も多いが、背景には長期的な温暖化の影響があるとの見方が有力だ。

日本に運ばれる水蒸気の量を決める2大要素は海面水温と気温だ。水温が高いと、その上を吹く風がより多くの水蒸気を受け取って運ぶ。また、気温が高いほど大気中に保持できる水蒸気の量は増え何かの刺激で雨として降ると膨大な量になる。”

“気象庁の観測では、少なくとも1980年代以降、日本上空の水蒸気量は気温と連動して増加傾向にある。気象研究所の計算によると西日本豪雨に伴う降水量は、1980年以降の気温上昇の影響で約6.5%上積みされたと考えられるという。今回の大雨は何日か降り続いたところへ短時間の豪雨が繰り返し、24時間降水量が400ミリを超えたところも続出した。これは河川の氾濫や土砂災害が間違いなく増えると言ってよい水準だ。

私は福岡県で生まれ、小学生のころまで九州北部で育ちました。当時から有明海周辺は「台風銀座」と呼ばれ、毎年のように台風が上陸し、かなりの風雨だったと記憶しています。しかし私が住んでいる地域が当時水害に見舞われることは(幸いにも)ありませんでした。記事にもあるように、最近の集中豪雨や大型台風の背景には地球温暖化の影響があります。「CO2排出量の削減」と聞くと、あまり身近な問題ではないように感じるかもしれません。しかしそのCO2が気候(海水温や気温)を温暖化させ、大量の水蒸気を発生させ、それが集中豪雨や大型台風となり日本に大きな災害を起こしているのですから、私たちにとって非常に身近な脅威です。

被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く生活を再建されることをお祈りしています。政府・自治体には、被災者の被害からの復興を支援していただくとともに、最近多発する水害の根本原因である地球温暖化への対策をしっかり実行していただきたいと思います。

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