新潟で見た「無印」の反骨魂!

地球環境が持続可能であることはとても大切なことです。同じように私たちの生活とその生活の場である「街」も持続可能でなければならないと思います。新型コロナウイルス感染症の影響もあり小売業の苦戦が続いていますが、新しい生活様式も広い意味でのファッションです。「無印良品」を展開する良品計画が、これからの小売業の姿を模索するプロジェクトを進めています。

2020年8月23日付け日本経済新聞電子版、日経MJに掲載された記事より、

“高齢化や中心市街地の空洞化、1次産業の衰退・・・。生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画が、地域の課題解決につながる店づくりを進めている。新潟県上越市に開いた巨大店舗は、地域再生の拠点を目指す。そこには、ネット通販全盛の時代にあっても店舗が生活に不可欠であることを証明しようとする強い意志がある。無印良品の挑戦から、新型コロナウイルス感染症の影響で存在意義が問われる小売業の未来が見えてきた。”

無印良品直江津のコンセプト

“日本海に面する新潟県上越市。中心市街地が久しぶりに活気づいている。7月20日、商店街の一角に、世界最大の無印良品が開業したのだ。イトーヨーカ堂が昨年5月に撤退したショッピングセンターの2階フロア全体を占める「無印良品 直江津」だ。約6000平方メートルの店内には、無印の雑貨や衣料品、寝具などがフルラインアップで並ぶ。これほどの品ぞろえは、東京都内の店舗でも珍しい。”

“世界ではネット通販の伸長に感染症の影響による巣ごもりが追い打ちをかけ、店舗の不要論さえもささやかれる。人口約19万人の地方都市で世界最大店の開業は、ネット全盛社会での小売業の「反骨精神」の表れといえる。”

“こうした「リアルの意地」が店の随所に見られる。フロア中央にある直営の書籍売り場はその象徴だ。食関連の新刊や古本、絵本など約3万5000冊が並ぶ。全国の商店街にはかつて街の本屋があり、地域の交流や文化を育んでいたが「アマゾンエフェクト」が真っ先に襲った。廃業が相次ぎ、直江津でも数年前に地元の書店が閉店した。そんな風潮にあらがうように、巨大売り場を設けた無印。ネット通販で探せる本であっても店で出会う意味がある。手に取って本を選びたい来店客のにぎわいが生まれている。”

“「無印良品 直江津」は、「くらしの真ん中になる」をコンセプトに掲げる。例えば、フリースペースの「オープンMUJI」。住民が交流できる公民館や集会所の役割を担い、地元アーティストの作品展示も計画する。「なおえつ良品市場」と名付けたコーナーでは、毎朝直送される地元産の野菜が並ぶ。地場産品の魅力を住民にもっと知ってもらうことで、地域の活性化を目指す。”

地域密着は多くの小売業の合言葉のようだが品ぞろえの調整にとどまる例が目立つ。これに対して無印良品の踏み込みは深い。全国各地に「コミュニティマネージャー」というスタッフを配置。地域の歴史や文化を学び住民と交流している。「無印良品 直江津」のコミュニティマネージャー、古谷信人さんは開業の約1年前から地元の農協や住民らの意見を聞き、「地域で求められる店舗は何かを考えてきた」。約100年続く朝市に参加するなどして地域の声に耳を傾けるなか、食にこだわる店舗のアイディアが生まれたという。”

“高齢化に伴い、店舗まで足を運べない買い物難民が全国で増えている。直江津の店舗では8月から、小型バスに生活用品を詰め込み、山間地域などを巡る移動販売の実証実験を始めた。無印良品の国内店舗数は5月末時点で436店。出店余地が狭まっているという指摘もあるが、良品計画の金井政明会長は「まだまだ3000店程度の展開余地はある」と語る。暮らしに役立つ商品を開発してきた無印良品だが、店舗は都心のビル内やモール内が多く、暮らしからは遠かった。今後は店舗が物理的に生活に近づきながら、出店を広げる構想だ。

無印良品の出店方針

“40年前にセゾングループ創業者・堤清二氏が生み出した無印良品は、当時流行した「ブランド消費」に対する疑問が出発点だ。「パーパス」が明確だった企業だが、経営陣はコロナ危機でそうした理念をより明確にしようとしている。企業の淘汰が進む中で、生き残るのは何が必要か。「数字で測定できる規模や効率性よりも絶対的な価値が重要」というのが、金井政明会長の持論だ。”

記事の中に共感できる表現がいくつかありました。

*ネット通販で探せる本であっても店で出会う意味がある。

*「無印良品 直江津」はくらしの真ん中になる。

*コミュニティマネージャーは「地域で求められる店舗は何かを考えてきた」。

*今後は店舗が物理的に生活に近づきながら出店を広げる。

私も本屋さんで、色々な本を見ながら、面白そうなものがないか探すのが好きです。買いたい本をネット検索して注文するのとは、ちょっと異なる行動です。これからの実店舗のあり方について、色々と考えさせられる記事でした。

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