ユニクロ、北欧に学ぶ循環型社会

北欧は福祉・教育先進国と言われてきました。今では更に、環境配慮、持続可能な(サステイナビリティ)循環型経済の先進国として注目されています。北欧のライフスタイルを参考にして、何が本当の幸福なのかを、もう一度考えてみるべきかもしれません。

2020年9月29日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“新型コロナウイルスに伴う価値観の変化で、サステイナビリティ(持続可能性)を重視した北欧諸国に注目が集まる。市場規模は小さくとも循環型社会の先進例で、ユニクロも今後の競争力に生かそうとする。感染症の影響で大量消費モデルは転換を余儀なくされ、サステイナビリティ対応のスピード感が企業の分岐点となりそうだ。

ユニクロのストックホルム店舗

“日本で北欧人気はかねて強く、女性を中心にライフスタイルに関心を持つ人は多い。こうした消費者意識を察知し、北欧での活動を重視するのがユニクロだ。2018年にスウェーデンに初出店。競合のヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の本拠地に乗り込んだと注目を集めた。2019年には同国の五輪・パラリンピック選手団の公式パートナーになると発表。2020年7月には選手ら13人とも契約して現地での社会貢献活動も共同実施していく。北欧市場は小さい。スウェーデンの人口は約1000万人。フィンランドやノルウェーなどと合わせた全体でも2500万人超と、日本よりかなり小規模だ。とはいえ国連の持続可能な開発目標(SDGs)の2020年の世界ランキングで首位はスウェーデン。トップ3は北欧諸国が独占する。ユニクロは「よりソーシャルな企業になるためにもスウェーデンから学ぶことは多い」としている。”

世界のSDGsランキング

“実際、ユニクロの活動でもサステイナビリティが前面に出る。ユニクロは消費者から回収した不要になったダウンジャケットの羽毛をリサイクルして新たに作り出したダウンジャケットを11月に発売する。リサイクルの手間などを考えればコスト高になるが、税抜き価格は7990円と他のユニクロ商品と同等だ。企業は不況期にはまずコスト削減を急ぐ。企業の社会的責任(CSR)やサステイナビリティは後回しにされそうだが、消費者は危機下でこそ企業姿勢をよく見ているものだ。

“リーマン・ショック後の2009年、トヨタ自動車やホンダはコスト的には負担の重いハイブリッド車(HV)を拡販し、企業ブランドを高めるとともに環境車の普及につなげた。一方、燃費の悪い大型車重視から抜けきれない米ビッグ3は苦戦。かねて不振だったゼネラル・モータース(GM)は経営破綻した。日本では新型コロナウイルス感染症前までインバウンド効果によるかりそめの「疑似人口増」で昭和・平成型ビジネスモデルを持続できたかもしれない。それが消えた今こそが、北欧型の循環経済を推し進める好機とも言える。

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