号外:株主優待が救った子ども食堂

皆さんは、「株主優待」という言葉を耳にされたことがあると思います。私は自分で株投資を行っていないので、株主優待を受けたことはありませんが、個人投資家の方で、この株主優待で様々な特典を手に入れておられる方もいらっしゃるようです。今回は、「株主優待」と「子ども食堂」という、一見何の関係もなさそうな組み合わせについての話題をご紹介します。

2020年11月18日付け日経ビジネス電子版に掲載された記事より、

“新型コロナウイルスによる業績悪化で株主優待制度を廃止、縮小する企業が出始めた。個人投資家からは不満の声もあるが、日本株の株主に占める個人の比率は2割弱に過ぎない。大半を保有する金融機関や事業法人といった大口投資家は、株主優待をどう処理しているのだろうか。”

“6月中旬、東京都葛飾区に拠点を置くNPO法人のレインボーリボンは地域の子供向けに、弁当の持ち帰りサービスを始めた。かねて運営する「こども食堂」がコロナ禍により開けなくなっており、密回避のため弁当を持ち帰ってもらう形で再スタートした。例えば、7月11日の弁当のメニューはキーマカレー。この日に使ったコメは、じつは岡三証券から提供された株主優待品だ。

新型コロナウイルス感染症はこども食堂に通う児童に多大な影響を及ぼした。緊急事態宣言で学校が休校になり、給食を食べられないことで栄養が不足する困窮家庭の子どもが増えたという。臨時休校中は近隣の弁当屋や飲食店の協力を得て、約3か月間で1495個の弁当をこども食堂に普段通っている児童らに届けた。そして給食が再開された6月からは、弁当配布の形でこども食堂を復活させると同時に、困窮家庭にコメなど食料の支援物資を配る対応も始めた。

“こども食堂なら1回の開催で10~20合分のコメがあれば足りたのだが、各家庭に食料を配布するとなると1合や2合というわけにはいかない。各家庭に最低でも2キロという単位が必要になる。一般の方からの寄付分だけではコメが全く足りなくなってしまった。レインボーリングが頼ったのが日本証券業協会(日証協)が今年1月に稼働させた「こどもサポート証券ネット」。日証協に加盟する証券会社が、自社に送られてきた株主優待品を日証協に寄付できる目録として登録し、日証協がNPO法人の希望と付け合わせてマッチすれば、優待品がNPOに送られる仕組みだ。

“中には品物で寄付先をひもづけているものもある。優待で届いた飲料水は江東区で障害を持つ子の学童保育を運営する「こぴあクラブ」に、冷蔵品や生鮮品はNPO法人の「ファミリーハウス(東京・千代田)」にといった具合だ。ファミリーハウスは遠方の自宅を離れて都内の専門病院で治療を受ける子供とその家族のために滞在施設を運営している。”

個人株主にとっては、株主優待は魅力的なものかもしれませんが、機関投資家にとっては、場合によっては取扱いに困ってしまうものなのかもしれません。しかし前述のような仕組みで、株主優待品を活用して困っている人々を支援することができれば、とても有意義なことだと思います。育ち盛りの子供達には、しっかり食事を採ってもらって、元気に過ごしてほしいと強く思います。

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