号外:日中、CO2再利用で連携 世界最大のガス化施設建設

歴史的にも日本と関係の深い隣国である中国は、今では世界の経済大国の1つに成長しました。言うまでもなく、両国の経済は深く結びついています。国家を統べる主義が異なり、摩擦が生じることもありますが、可能な限り協力関係を構築し、相互のそして世界の発展に貢献してゆければと思います。世界が脱炭素社会の構築に向かう中で、両国が協力するプロジェクトも動き出しています。

2020年12月19日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

日本と中国はCO2を再利用するカーボンリサイクルで連携する。中国の化学工場で副産物として生じる水素を使い、産業用の燃料ガスをつくる。世界最大級のプラントを建設し、2020年代半ばにも事業化する。削減が求められるCO2と余剰水素という不要な原料同士を合わせて有効活用する技術として確立し、新興国や途上国への展開もめざす。経済産業省と中国国家発展改革委員会などが12月20日に開く国際会議「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で覚書を交わす。日本側は日立造船や石炭エネルギーセンターが参加する。”

中国・陜西省の工業団地でCO2と水素から燃料のメタンをつくる。もともと工場で使うメタンの製造にCO2を再利用する分、大気への排出を減らせる。日立造船は新プラントの建設を検討する。摂氏ゼロ度、1気圧の標準状態に換算して1時間400立方メートル程度の生成をめざす。メタン製造施設としては世界最大規模で、工業団地の需要の約3割をまかなえる。

“基礎調査や技術実証を経て2020年代半ばにも事業化する。メタン製造で重要な水素は現地の化学工場の余剰分を安価に調達するので、採算はとれるとみている。脱炭素のエネルギーとして注目される水素は輸送・貯蔵が難しく、液化天然ガス(LNG)の数倍の費用がかかる課題があった。今回のプロジェクトでは工業団地の既存のパイプラインをそのまま使うことなどでコストを抑えられるという。水素は化学産業や製鉄などで多く発生する。陜西省での取り組みが軌道に乗れば中国の他地域や他国にも展開できる可能性が高い。

日本は国際公約として「2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」ことを約束しています。中国も2060年を期限として同様の宣言をしています。この目標を達成するためには、CO2の排出量自体を削減することが必要ですが、排出されるCO2を回収・再利用すること(カーボンリサイクル)も有効な手段です。日本が持つ工業エンジニアリング的な技術力を、他国との連携の中で有効活用すること、そしてそれが地球温暖化防止対策に貢献することは、非常に有意義なことだと思います。是非とも成功することを願っています。

Follow me!