ポイ捨てマスク世界中で・・・

日本でもようやく新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まりましたが、まだまだ感染症を克服したというにはほど遠い状況が続いています。日本経済新聞によると(3月1日時点)、世界の累計感染者数は1億1400万人以上、累計死者数は253万人以上といわれています。感染拡大を防止するためにマスクを着用する習慣が定着しました。まだまだ当分の間はマスクを手放せない生活が続きそうです。感染対策のためのマスクなのですが、その処分に関係して、非常に困った事態も起きています。

2021年2月27日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

使い捨てマスクのごみが世界各地で急増し、環境問題になっている。不織布素材はプラスティックの一種で、分解されずに残る。野生動物に絡まったり、排水溝が詰まって雨水が溢れたりする例が相次ぎ見つかった。新型コロナウイルスの感染が終息するまでマスク着用は続く。適切な処分を促す啓発などが必要だ。

2020年に海に流れ込んだ使い捨てマスクは15億6000万枚に上ると、香港を拠点とする海洋保護団体、オーシャンズアジアは試算した。世界で製造されるマスクの約3%にあたる量が海に流れ出たことになる。不織布製マスクは飛沫を遮る効果が布製より高い。着用を推奨する医療機関や学校、店舗が増えている。米調査会社グランド・ビュー・リサーチは2020年4月、2019年に約8億ドル(約850億円)だった使い捨てマスクの世界市場が、2020年に約1660億ドル(約17兆6千億円)になると見通した。

道路などに捨てられるマスクも急増した。バングラデシュでは廃棄マスクが排水溝を詰まらせる問題が発生した。2020年夏、国土の3分の1が浸水する大規模被害に遭ったが、調査した大学チームは雨が排水されず浸水が長期化したと分析した。”

“米国ではトイレに流されたマスクや紙製タオルなどにより下水道や処理施設の装置が詰まる問題が起きた。日本でも熊本県あさぎり町でトイレに流したマスクが下水道にたまり、ポンプなどが停止した。マスクやティッシュペーパーなどが絡み合った塊が原因だった。”

使い捨てマスクの一部が野生動物の生息地に入り込んで起きた被害も報告されている。英国で2020年夏、脚にマスクのひもが何重にも絡みついたカモメが保護された。多くの国でマスクが絡んで死んだ野鳥やカニなどが見つかった。英王立動物虐待防止協会は、マスクを捨てる際はひもをハサミで切るよう呼びかけた。

“日本での野生動物の被害実態はよく分かっていないが、プラスティックごみ対策は大きな課題だ。レジ袋は有料化される前に日本で年間20万~30万トンが捨てられていた。使い捨てマスクの詳しい廃棄量は不明だが、自然に分解する生分解性プラスティックの採用は一部だ。”

何ともやりきれないニュースです。感染拡大防止のための使い捨てマスクですが、「使い捨て」だからといって、どこにでも捨てていいというわけではないでしょう。むしろ衛生面も考えてきちんと処理すべきです。プラスティック(ポリプロピレン)不織布のマスクですが、素材を生分解性プラスティックに切り替えるというのも解決策にはなりません。生分解性プラスティックといっても、特定条件下で分解するのにも結構時間がかかります。みなさん、きちんと考えて行動して、余計な問題を発生させずに、感染症を克服していきましょう。

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