号外:サントリーが国内初のペットボトルリサイクル事業を自治体と締結

2021年2月10日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、

サントリーは、使用済みのペットボトルを新たなペットボトル容器に再生して飲料製造に用いる「ボトル to ボトル(B to B)リサイクル事業」に関する協定を兵庫県東播磨地区の2市2町と締結した。複数の自治体と企業がB to Bに特化した契約を結ぶのは国内で初めて。循環型社会の実現を目指す。”

サントリーのB to Bリサイクルの仕組み

“今回の「B to Bリサイクル事業」は、地域住民が家庭で廃棄したペットボトルを自治体が回収し、リサイクル業者が新たなペットボトル容器に再生させた後、サントリーの工場で飲料製造に使用するという、半永久的に資源を循環できるリサイクルモデルだ。本事業にあたって、自治体はこれまで取り組んできたリサイクルルートを変更した。これまでの自治体によるペットボトルリサイクルでは、回収したペットボトルは日本容器包装リサイクル協会(容リ協)に引き渡し、入札でリサイクル業者が決められていたため、引き渡し時に再生用途を指定することができなかった。しかし今回のB to Bリサイクル事業では、容リ協を介さずにB to Bのリサイクルを行う業者に直接引き渡せるようになる。

現状では、回収されたペットボトルが再びペットボトルへリサイクルされる比率は1~2割程度。多くはペットボトル以外のトレーや繊維に再生されるが、その後はリサイクルの用途が限られるためいずれは焼却される。焼却されればリサイクルの輪が途絶えてしまう。B to Bは水平リサイクルで、何度も繰り返して半永久的に資源を循環できる仕組みだ。

“今回、サントリーと「ボトル to ボトル リサイクル事業」に取り組む自治体は、兵庫県東播磨地区にある高砂市、加古川市、加古郡稲美町、加古郡播磨町の2市2町。2022年には共同で広域ごみ処理施設を始動予定など、廃棄物の適正処理や同地区の環境資源の保全に注力し、地域住民・行政・事業者による三位一体の「循環型社会」の実現を目指している。高砂市にはサントリーの関西エリアの飲料製造を担う高砂工場があること、2030年までに化石由来原料の新規使用ゼロを目指す同社と循環型社会への思いが一致していることから、今回の事業締結に至った。”

“同地域の家庭で廃棄される年間のペットボトル量は、2018年で約300トン。地域内のスーパーなどで廃棄されるペットボトルは約530トンあるといい、今後はそれらの事業者との協業も進めていく予定だ。全国にあるサントリーの工場全体のペットボトル使用量は年間約12万トンで、高砂工場では約8750トンになるという。2020年度の同社のリサイクルペットボトルの使用比率は工場全体で26%、高砂工場ではリサイクル業者の数が関東に比べて少ないため21%にとどまったが、今回の取り組みで2021年度の同工場での使用比率を70%以上まで引き上げる。”

日本はペットボトルのリサイクル先進国だとの認識でした。しかしB to Bでリサイクルされるのは1~2割程度なのですね。B to B以外の用途(トレーや繊維など)でリサイクルされた場合には、その後のリサイクル体制が整っておらず、そこでリサイクルの輪が途切れる(焼却される)のに対して、B to Bリサイクルであれば半永久的にリサイクル循環できるのに、なぜB to Bリサイクルの割合が少ないのでしょうか?容リ協から入札(販売)される時の価格が、B to B以外の用途の方が高いとかいう理由なのでしょうか?資源消費を抑制して、環境負荷(焼却によるCO2排出、廃棄プラスティックの問題など)を低減するためには、プラスティックの使用そのものを減らすことが必要です。しかしプラスティックは安価で非常に便利な素材ですから、プラスティックの使用ゼロというのは現実的ではありません。そうであれば、ペットボトルのB to Bリサイクルのように、できるだけ循環させていくリサイクルが効果的です。今回取り上げたような取り組みが、日本各地で、世界中で広がっていくことを期待しています。(何か特別な阻害要因があるのでしょうか・・・?)

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