号外:太陽光パネル、公共建築物は原則設置

これからの住宅・建築物での脱炭素について、政府の対策案が示されました。脱炭素というと、発電、産業分野や交通分野に目が行きがちですが、住宅・建築物分野からのCO2排出量も膨大です。これは私たちの日常生活に直結した課題ですから、私たち一人ひとりが考えていかねばならないことだと思います。

2021年6月3日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

”政府は6月3日、脱炭素社会の実現に向けた住宅・建築物の対策案を示した。国や自治体が公共建築物をつくる場合は原則として太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入量を増やす。新築住宅は太陽光の設置の義務化は見送ったが、断熱材の活用などの省エネルギー基準を満たすようにする。ビルなどの大規模な建築物は省エネ基準の引き上げも検討し、脱炭素の取り組みを促す。国土交通省、経済産業省、環境省による有識者会議で素案を示した。住宅の省エネ義務化などに必要な関連法改正を視野に入れており、実施時期を含め詳細を詰める。”

住宅・建築物の脱炭素

住宅を含む家庭部門と、オフィスビルなどの部門を合わせた建築物分野のCO2排出量は2019年度に3億5200万トンと、国内全体の34%を占める。産業部門(3億8400万トン)に次いで多い。2030年度に温暖化ガスを2013年度比46%減らし、2050年までに実質ゼロにする政府目標を達成するには踏み込んだ対策が欠かせない。”

”環境省からは住宅やビルへの太陽光設備の取り付け義務化案が出ていた。委員からは「地域や立地などで発電効率に格差があり一律の義務化には無理がある」との慎重論が根強く、住宅では当面の義務化を見送った。一方で公共建築物では導入する。新たに作る学校や文化施設、庁舎などを念頭に「太陽光発電設備の設置を標準化する」と明記した。既存の建物などでも設置を加速するよう求めた。環境省の推計では公共建築物で導入可能な太陽光発電の設備容量は最大で約1900万キロワットと、国内で既に導入された太陽光の3割に相当するという。

”エネルギー消費量などを定めた省エネ基準の義務付け対象の拡大も盛り込んだ。4月に施行した改正建築物省エネ法で、大きな建物だけでなく、延べ面積300平方メートル以上の新築ビルや商業施設も追加したが、さらに新築住宅にも広げる。これにより、外壁や高断熱材を使ったり、効率的な空調、発光ダイオード(LED)照明を導入したりする対策が重要になる。国交省の試算では、平均的な戸建て住宅で省エネ基準を満たすには約11万円の追加費用が必要で、光熱費が下がって回収できるまでに37年かかる。補助金などの支援の拡充も模索する。”

省エネ基準そのものの段階的な引き上げも検討する。まずは取り組みが進む大規模建築物から基準を厳しくする方向だ。規模や用途ごとに実態を踏まえた水準を探る。省エネ性能の表示制度も創設する。事業者が住宅販売や賃貸の広告などで、物件の省エネ性能を開示することを想定する。”

課題は、既存住宅の省エネだ。新築の戸建て住宅は既に8割超が省エネ基準を満たしている。一方で約5000万戸に上る既存住宅では11%しか適合していない。補助金や減税などの支援策を打ち出しても消費者の意識が変わらなければ進展しない。事業者や国民の意識を高められるかが脱炭素のカギを握っている。

私はかなり古い戸建て住宅に住んでいますので、恐らく省エネ基準を満たしていないのだと思います。夏の冷房、冬の暖房で電気代が跳ね上がるたびに、「何とかしなければ」と思うのですが、資金の問題もあり、なかなか手を付けられていません。古い物件なので、全体をリフォームするとしたら、ほとんど建て替えと代わらないぐらいの大事になるような気がします。「新築の戸建て住宅は既に8割超が省エネ基準を満たしている。一方で約5000万戸に上る既存住宅では11%しか適合していない。」ということですが、私と同じような悩みを抱えている方が、大勢いらっしゃるのだと思います。短期間での費用回収は無理ですが、将来の世代の生活環境を守るための一手段であることは間違いないわけですから、今生活している世代として、可能な範囲で、少しでも「省エネ」できるように、もう一度考えてみたいと思います。

Follow me!