再生ポリエステル繊維:PETボトルリサイクルのひとつの出口
ペットボトルのマテリアルリサイクルの出口として
合成繊維の代表格はポリエステル繊維です。皆さんは「再生ポリエステル繊維」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。国内および海外のメーカーが再生ポリエステル繊維を商品化しています。元々再生ポリエステル繊維は、合繊メーカーがPET(ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム)の工場内裁断くずを利用して、再溶融繊維化して利用されてきたものです。その後PETボトルの回収が本格化するにつれて、回収されたPETボトルから再生したPET樹脂(再生PETフレーク)を用いたポリエステル繊維が生産されるようになりました。この場合、再生PETフレークの品質が均一ではない(若干の不純物が含まれる)ため、再生されたポリエステル繊維の品位にも多少のバラツキがあるようです。これは回収したPETボトルを利用した、マテリアルリサイクルの一環と考えられます。
その後、先に触れたケミカルリサイクルの技術が実用化され、ケミカルリサイクルの過程で不純物が取り除かれ、バージン原料で作ったものと同等の再生ポリエステル繊維の供給が可能になりました。ケミカルリサイクルされたポリエステル繊維も再生ポリエステル繊維と呼ばれることがあります。ただ色々と制約があることは先に触れた通りです。
国内PETボトルのリサイクル概況を下記します。
(2017年度、PETボトルリサイクル推進協議会HPより)
PETボトル販売量:587千トン
同回収量:623千トン(キャップ、ラベル、異物を含む)
(国内向け回収量/371千トン、海外向け回収量/252千トン)
再資源化量=リサイクル量:499千トン(国内/298千トン、海外/201千トン)
リサイクル率:(リサイクル量)÷(PETボトル販売量)=84.8%
日本はPETボトルリサイクルの先進国です。日本のリサイクル率は85%ですが、これに対して欧州は40%、アメリカは20%程度と言われています。私たちが日々、PETボトルのラベルを剥がし、洗浄して、分別回収に出している(サステイナブルな取り組み)成果ですね。
国内で再資源化(298千トン)され、生産された再生PET樹脂(再生フレーク)の総量は249千トンで、用途は以下のようになっています。
PETボトル:24.6%(ボトル to ボトル再利用)
シート:47.2%(食品用トレイ等)
繊維:63.3千トン/25.4%(自動車内装材/21.1千トン、衣類/11.9千トン、家庭用品等)
その他:2.8%
TTL:100%
国内でPETボトルから再生されたPET樹脂(再生PETフレーク)の一部(63.3千トン)が繊維化されていますが、用途としては自動車内装資材の方が多く、衣料に利用されたのは11.9千トンで、再生PET樹脂総量の5%弱です。海外から衣料用再生ポリエステル繊維として輸入されるものもあると思いますが、資料を見つけることができませんでした。再生ポリエステル繊維は、リサイクル素材ですからバージン素材よりは環境負荷(エネルギー使用量)が少なく、有限な石油資源の利用抑制に貢献します。
国内市場に衣料品として供給される繊維総量は110万トンを超えていますから、国内産再生ポリエステル繊維が占める割合は1%程度ということになります。PETボトルのマテリアルリサイクルにおけるひとつの出口として衣料用繊維があります。しかしいったん衣料品市場に投入されれば、さらにそのリサイクルについては、衣料品のリサイクルの一部分となります。