号外:新型コロナウイルス感染症の環境への影響①、プラスティックごみの増加

現在(2021年8月後半)の日本国内では、感染力の強いデルタ型変異株の影響で、新型コロナウイルスへの感染が再拡大(過去最大規模)し、一日当たり2万人を超える新規感染者が報告されています。一般のワクチン接種は高齢者から順次進んでいますが、現役世代や若年者へも感染が広がり、その勢いはまだまだ収まる気配が見えません。新型コロナウイルス感染症は、人への健康被害、経済への悪影響のほかに、私たちの回りの環境へも様々な影響を与えています。

2021年3月23日付でYahoo JapanのサイトGyoppyに掲載された記事より、

”世界保健機構(WHO)が2020年3月、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を宣言してから1年が経った。感染拡大を防ぐため、世界中で移動制限といった措置が敷かれ、市民が外出時にマスクを着用するなど生活様式が一変した。”

”新型コロナウイルスの最初の症例が2019年に中国で確認されて以降、ウイルスは瞬く間に世界に広がり、多くの命を奪った。WHOによると2021年1月25日時点で世界の感染者数は約9,780万人に達し、死者数は約210万人以上に上っている(2021年8月19日時点では、世界の感染者数:2億911万人、死者数:438万人)。こうした中、コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、市民はマスクの着用を求められるようになった。一方で、使用済みのマスクが落ちているのを目にする機会が増えた。これらのマスクの一部はいずれ、雨などにより川や海に流れ着くことになる。”

”香港の環境団体オーシャンズアジアが発表した報告書によると、世界全体で2020年に520億枚のマスクが生産され、このうち3%に当たる15億6,000万枚が海に流れ込んだ。一般に使用されている不織布マスクの多くは、ポリプロピレンなどのプラスティックで作られており、4,680~6,240トンのプラスティックが流入したことになるという。同団体は、これらのマスクが海の中で細かく砕かれてマイクロプラスティックとなり、海洋生物に長い間、悪影響を及ぼし続けると指摘。各国政府に対し、再利用可能なマスクの奨励や適切な処分、ポイ捨てに対する罰金の引き上げといった対策を講じるように求めている。“

”石油の浪費や、プラスティックごみによる海洋生物への被害を防ぐため、世界中で近年、プラスティックの使用を削減する動きが広がっていた。しかし国連は、コロナ禍のデリバリーの利用増加や感染対策により、食品包装や消毒剤の容器といったプラスティック製品の使用や廃棄が増えたとの見方を示している。商店ではパンや野菜がポリ袋で個包装されて売られるようになり、飲食店には飛沫紡糸のためのアクリル板が設置されるようになった。医療現場では、プラスティック製のフェイスシールドやガウン、手袋が日々使われており、プラスティックの使用は増えたと感じられる。”

”世界全体のプラスティックごみ量に関するデータはまだ公表されていないが、シンガポール国立大学の卒業生が行った調査によると、同国では2020年4~5月の都市封鎖(ロックダウン)期間中、使い捨て容器・カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーンなど)だけで2階建てバス92台の重量に相当する1,334トンのプラスティックごみが発生、デリバリーやテイクアウトが増えたのが影響した。香港紙サウスチャイナ・モーニングポストが中国政府当局者の話として報じたところによると、武漢の病院で新型コロナウイルス感染症の流行ピーク時に発生した1日当たりの医療廃棄物は、平時の6倍の240トン以上に上ったという。

”1人当たりのプラスティックごみ排出量が、米国に次いで世界で2番目に多い日本でも、プラスティックごみが急増したとみられる。公益財団法人日本容器包装リサイクル協会によると、2020年にリサイクル事業者が市町村から引き取ったプラスティック製容器包装は、前年比4.2%増の67万6,605トンとなり、直近10年間で最多だった。同協会は取材に対し、要因について「年度が完了しておらず、十分な分析ができていないため、正式な回答はしかねる」とした上で「コロナ禍の巣ごもり需要で、家庭から排出されるごみが増加し、市町村からの引き取り実績が増えているのは間違いない」との考えを示した。国連は各国に対し、紙や天然繊維といった代替素材の使用や、プラスティックの適切な収集・処理を呼びかけている。”

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