号外:神戸市で詰め替えパックをリサイクルする実証実験スタート!
洗剤やシャンプーなど日用品の詰め替えパックを分別回収し、詰め替えパックから詰め替えパックへと水平リサイクルすることを目指すプロジェクトが10月から、神戸市でスタートします。循環型社会の構築に向け、神戸市と小売・日用品メーカー、リサイクラー(再資源化事業者)など16社が協働し、市民の協力を得て行う全国に先駆けた取り組みです。日用品の詰め替えパックは、メーカーごとにさまざまな特性を持つ多層構造のフィルムによってつくられているため、リサイクルが難しいのですが、参加企業間でノウハウを共有しながら技術開発と実証実験を行います。 私は神戸市民ではありませんが、兵庫県民として、この実証実験が成功し、循環型ビジネスモデルが構築されることに期待しています。
2021年9月30日付けSustainable Brands Japanに掲載された記事より、
”「神戸プラスティックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~」。プロジェクトチームの現時点での参画メンバーは、神戸市と、ウェルシア薬局、コープこうべ、光洋、ダイエーの小売り4社、アース製薬、花王、牛乳石鹸、コーセー、小林製薬、サラヤ、P&Gジャパン、ミルボン、ユニリーバ・ジャパン、ライオンのメーカー10社、アミタ、大栄環境のリサイクラー2社となっている。”
”回収の対象は、すべてのメーカーのシャンプーや洗剤(衣類・台所・住まい)の空になった詰め替えパック。水を入れて洗浄し、よく乾かしてから、神戸市内75ヶ所に設置した専用の回収ボックスまで持ってきてもらう。回収に協力した市民には神戸市が運営する「KOBEエコアクション応援アプリ」を通じて1枚につき50ポイント(5円相当)が還元される。”
””回収された詰め替えパックは、収集の効率化と環境負荷低減の観点から、店舗への商品の配送戻り便などを活用して大栄環境グループの六甲リサイクルセンターに集約。メーカーごとに選別した後、花王和歌山工場のパイロットプラントで再製品化に向けた研究開発を行う。ここで得られた課題や技術を各メーカーと共有し、水平リサイクルの実用化のめどが確立した後には、各メーカーは市内店舗での実証販売へとつなげる流れを想定している。”
”同市などによると、シャンプーなどの詰め替えパックは、本体ボトルに比べ、プラスティック使用量が70~80%少なく、日用品全体に占める詰め替えパックの販売シェアは約80%に達している。その一方、内容物を温度や湿度、紫外線などから薄いフィルムで守るため、多層構造となっていることから、廃プラスティックを原料としてプラスティック製品に再生するマテリアルリサイクル自体が困難であるのが現状だ。”
”このため水平リサイクルを実現することは業界の課題であるものの、ボリュームのある使用済み製品の回収と、膨大な研究開発費を必要とすることから、1社単独では難しい。そこで神戸大学発の環境NPO法人「ごみじゃぱん」と神戸市が旗振り役となって、業種やライバル関係を超えて水平リサイクルに挑戦する今回の枠組みが生まれた。”
”神戸市の久元市長は「国際港湾都市である神戸は、海を怖れながらも海の恵みを受け取り発展してきた海洋都市でもあり、国際的にも非常に大きな問題になっている海洋プラスティック問題に真正面から向き合わなければいけない。この一つの大きな実験を成功させ、神戸から水平リサイクルのモデルを構築していくことができれば」と語っている。また、ごみじゃぱんの石川代表理事・神戸大名誉教授は、「このプロジェクトは、消費者自らに、持続可能な社会の一員であると自覚してもらうことにつながる」と強調。水平リサイクルを実現することは、環境面でも経済面でもプラスになり、研究開発を進めるうえでは「あるいは最初の製品そのものの設計を変えた方が楽だということになるかもしれないが、それはメーカーが考えることであり、そこに強い動機が生まれる」と語った上で、「生産者責任の自主的拡大であり、循環型社会への移行の強力なドライバーになる。企業にとっては、循環型社会に移行していく上での大きなビジネスチャンスに対する投資だ」と総括している。”
”花王の代表者は、「社会のサステイナビリティを考えたとき、資源循環は欠かせず、私たちはプラスティックともっとうまく付き合い、活用していく方法を生み出していかなければいけない。フィルム容器の欠点はリサイクルが難しいことだが、花王はなんとか新技術を開発し、今回の取り組みを通じて同業のみなさんと一緒に獲得していく技術をなるべく多くの企業と共有していきたいと考えている。協働によって成し遂げられることは膨大で、経済社会を変革することもできる。神戸に始まったモデルが世界の目から見たとき一つのゲームチェンジャーになる可能性があるのではないか」と話している。”