号外:「気温上昇1.5度以内を追求」COP26閉幕、石炭火力は段階的削減

英国グラスゴーで開かれたCOP26は11月13日、「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕しました。パリ協定の1.5度目標を達成するためには、更なる温暖化ガスの排出削減が必要です。そのためにも石炭火力発電の段階的な廃止を合意文書に盛り込む努力がなされましたが、インド等途上国からの反発が強く、最終的には段階的な削減という表現に弱まり、採択されました。これからも地球温暖化対策を巡る議論や調整は継続されますが、先ずは現在可能なことから具体的な行動を起こさなければなりません。

2021年11月14日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

”第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は11月13日、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。最大の焦点だった石炭火力発電の利用について、当初の文書案の「段階的な廃止」から「段階的な削減」へ表現を弱めた。産業革命前からの気温上昇は1.5度以内に抑える努力を追求すると明記した。”

COP26合意文書のポイント

”英国は石炭火力の「段階的な廃止(phase-out)」を成果文書に盛り込もうと強くこだわっていた。だがインドなどの反発が強く、「段階的な削減(phase-down)」と当初案に比べて表現を後退させた。欧州連合(EU)やスイス、島しょ国の閣僚らは「表現の変更に失望した」と表明したが、採択には反対しなかった。”

”地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、現状の各国の温暖化ガス排出削減目標では達成できないとの分析を受けて、必要に応じて2022年末までに2030年の各国目標を見直すことも明記した。パリ協定は地球気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざす。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、1.5度に抑えるには2030年時点で2010年比45%の温暖化ガス排出削減が必要だ。気候変動枠組み条約事務局によると、現状の取り組みでは13.7%増える。今回の合意文書は温暖化被害の多い2度よりも、1.5度を重視して排出減に向けた取り組みを進めることを確認した。

先進国から途上国への資金支援では、2020年までに年1000億ドル(約11兆円)を実現するとの約束が守られなかったことについて、途上国側が「約束違反だ」と批判していた。文書では「深い遺憾」を表明し、先進国が早期に実現することを改めて約束した。”

2022年のCOP27はエジプト、2023年のCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)でそれぞれ開くことも固まった。

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