号外:海藻で挑む温暖化ガス削減

家畜のゲップに含まれるメタンは温暖化効果が高く、畜産大国のオーストラリアでは、排出される温暖化ガスの約1割が牛や羊によるものだそうです。そして、家畜のゲップに対応する技術が注目を集めているという話題です。遠く離れた日本で生活し、豪州産の畜産物を消費している私たちにも、決して関係のない話ではありません。

2022年10月3日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“世界的に脱炭素の流れが加速するなか、畜産大国のオーストラリアで注目を集める企業がフューチャーフィードだ。豪州の近海などに自生する海藻を飼料に混ぜると、牛など家畜のゲップに含まれるメタンが減少することに着目。国内外の企業とライセンス契約し、海藻の栽培や飼料原料としての販売を手助けしている。同社は2020年に設立された。出資者には豪連邦科学産業研究機構(CSIRO)のほか、豪スーパー大手のウールワース・グループや穀物大手グレインコープが名を連ねる。”

メタンにはCO2の20倍超の温暖化効果があるとされる。豪州では排出される温暖化ガスの約1割が牛や羊によるもので、ゲップへの対応が喫緊の課題だ。同社によると、赤紫色の海藻「カギケノリ」を牛の飼料に0.5%混ぜると、ゲップに含まれるメタンを8割削減できる効果があるという。同社はCSIROや豪ジェームス・クック大学などが開発した技術に関する知的財産権を管理し、商業化を担う。主な収益源は、この技術を利用する飼料生産企業から得るライセンス料だ。”

“顧客企業はフューチャーフィードの助言を得て海藻を栽培し、畜産農家などに販売する。現在契約する企業は豪州に加え、米国や欧州などの7社だ。飼料の商業販売も始まり、「豪州の牛肉がグリーンになる」(豪地元紙)との声が出ている。今後は脱炭素に向けた供給網全体の支援も展開していく。「家畜動物の研究やマーケティングを手掛ける」(同社)という。事業領域を拡大することで温暖化ガスの大幅な削減につなげていく。

フューチャーフィードの会社概要

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