米国で「お直し永久保証付きアパレル」が活況
このアイディアは素晴らしいと思います。IT技術を活用しながら、カスタマイズされた服を受注生産するので、売れ残りが発生したり、それを廃棄したりすることはありません。さらに「お直し永久保証」ということで、生産・販売した服の製品寿命いっぱいまで消費者に着てもらう(使ってもらう)取り組みです。オンでもオフでも着ることができる、上質な素材を使ったシンプルな服。サステイナブルなライフスタイルを実現するファッションだと思います。このような服を選ぶ人は、きっと他の物やサービスも丁寧に大切に使ってくれるのではないでしょうか。
2023年1月27日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、
“近年、売れ残ったアパレルの大量廃棄を問題視する流れは強まる一方だ。今から約1年前の2022年1月には、フランスで売れ残りの衣類を企業が廃棄することを禁止する「衣服廃棄禁止令」が施行された。ここ米国ではアパレルの問題解決に取り組むスタートアップ「レッドスレッド」が支持を集めている。2018年に創業し、ネバダ州に本社を構えるレッドスレッドが提供しているのは、婦人服のカスタムメードサービスだ。利用者の体形にぴったりの服の採寸は自宅で簡単にできる。ブランドは様々な体形に合わせて豊富なサイズを用意する必要がなくなるので、廃棄は発生しない。”
“利用者は同社のサイトから欲しいアイテムの色やポケットの有無などを選んで注文。測定用のリンクが送られてくるので、アクセスしてスマホのカメラで身体をスキャンする。測定値を基にして作られる服は、約1週間で完成。この測定にはAI(人工知能)のアルゴリズムをベースにした最新の3Dスキャンテクノロジーが使われていて精度が高いという。”
“ただし、大量廃棄問題を解決するレッドスレッドのさらに驚く仕掛けはここからだ。「ライフタイムフィット保証」というサービスを無料で提供。送られてきた服が気に入らなかったり、太ったり痩せたりしてサイズが合わなくなったりした場合、服を補正して対応するのだ。妊娠するなどして、腹回りだけが極端に大きくなった場合にも応じる。この手厚いアフターサービスは、驚くことに永久保証だという。CEO(最高経営責任者)のメーガン・リッチフィールド氏は「当社の製品は長く着られるので、ごみになりにくい」と自信を見せる。”
“そのぶん、シャツが約120ドル、パンツは約150ドルと、ファストファッションのような手ごろな価格帯の製品よりは高い。ただし、素材の品質が高く、仕事でもプライベートでも着られるシンプルなデザインが多い。長期間着用できるので、コストパフォーマンスに満足している利用者がほとんどだ。素材も含めた服のデザインはアパレルブランド「バナナ・リパブリック」や「アバクロンビー・アンド・フィッチ(アバクロ)」でキャリアを積んだデザイナーが担当していて、着心地が良く、しわになりにくいと主に30代以上の女性たちに好評だ。黒色のパンツやワンピースが売れ筋になっている。”
“今後は消費者からの要望に応えてデザイン数を増やしていく予定で、「婦人服以外のアイテムを加えてラインアップを広げる可能性がある」(リッチフィールド氏)。現在、ヨーロッパやオーストラリアからも注文が来ていて、日本からでも注文可能。世界各地に支社を置いて展開することも、視野に入れている。”