号外:トルコ・シリア地震のエネルギーは阪神の約20倍

1995年1月17日の阪神淡路大震災、私と家族は兵庫県西宮市で被災しました。2023年2月6日にトルコ・シリアで巨大な地震が発生したことは、皆さんもご存じの通りです。現地から報道される被害の大きさは目を覆うばかりで、死者は5万人を超えたといわれています。そのトルコ・シリア地震の地震エネルギーは阪神淡路大震災の約20倍だったという記事なのですが、自分が経験した震災の約20倍の規模の災害といわれても、全く想像がつきません。地域の不安定な政情もあり、なかなか支援の手が届きにくいとの報道もありますが、今は少しでも早く被災者の方々に支援の物資やサービスが届くことを祈っています。

2023年2月27日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

断層型と海溝型の仕組みの違い

“死者が5万人を超えたトルコ南部の大地震は、断層が水平方向にずれる「横ずれ断層型」で、1995年の阪神大震災の約20倍のエネルギーだったことが専門家の分析で分かった。横ずれ断層型の内陸直下地震は日本でも過去に甚大な被害をもたらしており、大地震のリスクが比較的高いとされる活断層は全国で約30ヶ所に上る。耐震化の進む日本でも防災対策の再点検が求められる。”

“地震に関する指標はいくつかある。例えば、震度はある場所での揺れの強さ、マグニチュード(M)は地震そのものの大きさを表す。断層のずれに伴う運動の規模を示すのが地震エネルギーだ。最大震度7を観測し、6434人が犠牲になった阪神大震災も横ずれ断層型の地震で、国土地理院によると、地表の横ずれ幅は1メートル。単純比較できないが、トルコ・シリア地震では横ずれ幅が5メートルに達した。横ずれ幅や動いた断層の距離から計算すると、トルコ・シリア地震のエネルギーは阪神大震災の約20倍だったという。トルコ・シリア地震では、トルコ南部の異なる断層でM7以上の内陸直下型地震が2回発生した。阪神大震災を上回る水準とされ、断層の運動を加えた地震エネルギーは大きく、甚大な被害をもたらしたとみられる。”

“地震には大きく分けて、陸側のプレート内部で発生する「断層型」と、海側と陸側のプレートの境界で起きる「海溝型」がある。2011年の東日本大震災は海溝型で、揺れよりも大津波による犠牲者が大半だった。一方、トルコ・シリア地震の横ずれ断層型は、建物の倒壊が起こりやすい。震源から断層に沿って強い揺れが後半に伝わるためで、断層が上下にずれた場合よりも被害が大きくなる傾向があるという。2016年に起こった最大震度7の熊本地震も横ずれ地震に該当する。

“日本では今後も横ずれ断層型の大地震が起きる可能性がある。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)によると、将来も活動すると予想される活断層は日本に大小あわせて約2000。114ある主要な活断層帯のうち、「30年以内に3%」という地震発生確率が高い活断層は31ヶ所ある。

横ずれ型の活断層は西日本に多い。西日本の下に潜り込むフィリピン海プレートが北西方向に進む影響で、ひずみが解き放たれた時に断層が東にずれることが原因とされる。四国地方を東西に横切る「中央構造線断層帯」や山口県にかかる「菊川断層帯」などがあげられる。全長400キロを超える中央構造線断層帯が愛媛県を通る区間では、30年以内に大規模な地震が起こる可能性は最大12%。同本部の担当者は「愛媛周辺の断層がトルコのように複数連動すれば、M8を超える地震が日本でも起こりうる」と警鐘を鳴らす。”

“西日本以外も警戒は必要だ。30年以内にM7程度の地震がおきる確率が70%とされる首都直下型地震は国の2013年想定で死者最大約2万3000人、揺れによる全壊は約17万5000棟に上るとされた。トルコと同じ地震大国の日本は備えの強化が欠かせない。各家庭での対策が最も重要だ。高い場所に荷物を置かず、家具を固定するなどの基本的な防災対策の重要性が指摘されている。火災を防ぐため、地震を感知すると自動で電気が止まる「感震ブレーカー」の普及を進めることが必要だといわれている。”

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