号外:三井物産、北海道で次世代地熱発電

日本列島は環太平洋火山帯の上に位置し、活発に活動する火山も多く、各地に温泉も湧き出ています。地熱資源量は米国(首位)、インドネシア(2位)に続いて世界第3位なのですが、国内での地熱発電の開発はあまり進んでいません。対象となる地域が国立・国定公園内にあって開発が制限されていたり、山間部であるために開発費用が高額になったりするためです。また観光事業者や温泉事業者が、地熱発電の開発に伴い自然環境や景観が悪化するのではないかという懸念を抱えていることも影響しています。地熱発電は、いったん開発が成功すれば、天候に左右される太陽光や風力など他の再生可能エネルギーよりも、安定的に電力を供給することができます。脱炭素を進めながら安定的に電力を確保するために、もともと資源量が豊富な地熱発電をもっと有効に活用しようと、新しい技術開発が進められています。

2023年6月22日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

三井物産は6月22日、北海道ニセコ町などで環境負荷の小さい次世代地熱発電に着手すると発表した。2025年まで実験し、2030年ごろに商業運転することを目指す。従来方式と違って蒸気などを取り出さないため、候補地が増える見通しだ。実現すれば、国内での地熱発電容量を数百万キロワット増やす可能性があるという。100%子会社の三井石油開発が米石油大手シェブロンの子会社と連携する。2025年までの実験で発電に必要な熱交換ができるかどうかを確認する。商業運転開始の際には発電容量を1万キロワット以上の規模を目指す。“

パイプを通じて高温の地層に水を注入して地熱で温め、再びパイプでくみ上げて地上で熱に交換する「アドバンスト・クローズド・ループ」という次世代技術を採用する。従来方式と異なり地中から熱水や蒸気を取り出さないため、環境への影響が少なく地域住民などの理解を得やすいという利点がある。熱水などが出ている地中の亀裂を見つける必要が無く、候補地が多い。運転開始までの期間も数年単位で短縮できるという。”

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