経産省、衣料品再生でルール策定へ

以前このHPで、2022年3月に発表された「EUテキスタイル戦略」について取り上げました。それから1年半、ようやく日本国内でも経産省の主導で衣料品再生についてのルールを策定する運びになりそうです。「ルールの策定」にどの程度の時間がかかるのかわかりませんが、速やかに仕組みを整えて、国内の繊維・ファッション産業および消費者の行動をより持続可能なものに変えていかねばなりません。EUが先行する繊維・ファッション産業についての考え方は、徐々に世界中に広がっていきます。日本の繊維・ファッション産業や市場が取り残されないように、着実に取り組むことが必要です。

欧州が示唆するアパレルの未来>に項を参照

2023年9月27日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“経済産業省は衣料品の関連企業向けに衣服の再生や再利用を求めるルールづくりに入る。再生繊維の使用状況を衣類に表示してもらい、不要品の回収も増やしてもらう。日本国内で衣料品は6割超を廃棄している。欧州連合(EU)は再生繊維を使わない製品を市場から排除する方針で、日本も対応を急ぐ。

“経産省が9月28日にも衣料品の再生や再利用に関する課題と改善策をまとめた報告書を公表する。報告書の内容をもとに、10月以降に同省の審議会で新制度の導入時期や数値目標を詰める。衣料品の「回収」「分別・繊維再生」「製造(設計)」「販売」の4段階で改善を要請する。環境省によると、家庭や事業所で不要になった衣料品は64.3%が捨てられている。古着で使うなどの再利用は18.1%で、新たな繊維に変えるといった再生は17.4%にとどまる。”

4段階のうち販売では、消費者が商品を選ぶ際に再生繊維の使用量やCO2の排出量がわかるようにしてもらう。製造時に企業が留意すべき項目をまとめたガイドラインを新たにつくる。分別の手間となるボタンやファスナーの使用を減らすことなどを求める。分別や再生も重要となり、新技術の活用を促す。衣類に素材情報を記録したICタグを埋め込むことで自動で分類する技術や、複数の素材が混ざった繊維を分離して再生する技術などをあげる。政府が補助金などで開発を支援する。回収では地方自治体や衣料品店に回収拠点を増やすことや、消費者への周知徹底を要望する。制服メーカーには「広域認定制度」の活用を求め、不用品の回収時に各自治体の許可を得る手間を省いてもらう。”

EUは2030年までに域内で販売する製品を対象に、再生素材を多く使うことや再利用しやすい設計にすることなどを要請する。欧米のアパレル大手は再生繊維の採用を増やしており、日本企業の競争力低下が懸念されている。”

2023年9月22日付け繊研新聞電子版に掲載された記事より、

経済産業省は繊維製品の資源循環促進のための新たな制度や事業者支援策の検討を始める。産業構造審議会(経産相の諮問機関)の繊維産業小委員会を秋をめどに再開、故衣料品を回収・再利用する事業者の認定制度や環境配慮設計のガイドライン、リサイクル素材の定義と表示の標準化などを議論し、国、自治体、事業者、消費者が2030年に向けてそれぞれ行うべき取り組みやリサイクルなどの数値目標を定める「繊維製品における資源循環ビジョン・ロードマップ」も初めて策定する方針だ。”

“回収については、回収率を高め、「収益が厳しい」とされる回収した衣料品を引き受ける事業者を支援するため、「事業者が故衣料品などを循環利用する計画を認定し、認定事業者に対して支援措置を行う」制度を検討する。分別・再生については引き続き、技術開発支援を強化する。

製造に関しては、リサイクルや温室効果ガスの排出抑制、省エネルギーの促進など環境に配慮した製品設計「環境配慮設計」のガイドラインを繊維評価技術協議会と連携し、今年度内に策定する方針。ガイドライン準拠製品に対する「新たな表示のあり方、製造事業者に対する支援措置も検討」する。販売では、現在は定まっていないリサイクル素材の要件などの定義と表示ルールを整備・標準化し、国際規格化も目指す。表示製品に対する「グリーン購入などの優遇制度も検討」する。アパレル企業などが回収した衣料品の情報開示をしやすくする「ルール作り」も議論する。さらに、「繊維製品の適量生産、製品の長寿命化についても、自主行動計画の策定など出口を検討していきたい」としている。

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