号外:レゴ、「石油プラ完全脱却」を撤回

みなさん、「LEGO(レゴ)」というブロック玩具をご存じだと思います。我が家でも子供たちが小さい頃には、たくさんのレゴ・ブロックがあり、子供たちが色々なものを(時には正体不明なものまで含めて)組み上げては遊んでいました。そのレゴが、代替素材を使用してCO2排出量の削減を検討していたのですが、なかなかうまくいかなかったという話題です。環境負荷を低減するために知恵を絞って色々と試みることは大切ですが、その実効性については慎重に評価することが必要なようです。良かれと思ってやったことが、実は状況を悪化させていたということが後から判明するようなことになれば、企業価値を大きく損なうことにもなりかねません。その意味でも、参考にしなければいけない事例だと思います。

2023年10月5日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

デンマークの玩具大手レゴは、石油由来のプラスティックから完全に脱却するという従来の方針を撤回した。代替素材を使う方がCO2の排出量が多くなることが判明したためだ。持続可能性の取り組みを進めるうえで複雑なジレンマに直面している。”

レゴは2021年、石油由来のABS樹脂の代替素材として、使用済みペットボトルなどをリサイクルしたrPET(リサイクル・ポリエチレンテレフタレート)を原料とするブロック玩具を試作した。ABS樹脂は現在、同社が毎年製造する数百億個のブロックの8割に使われている。”

“レゴのニールス・クリスチャンセン最高経営責任者(CEO)はファイナンシャル・タイムズ(FT)に対し「最初の頃は魔法のような新しい素材が簡単に見つかると誰もが思っていた。だが、そんなものは存在しないようだ。我々は何百もの素材をテストしてきたが、魔法の素材を見つけるのは不可能だった」と話した。rPETを使うには新しい設備や装置が必要となるため、カーボンフットプリント(製品サイクル全体のCO2排出量)がかえって多くなることが判明したという。

レゴは代替素材ではなく、ABS樹脂のカーボンフットプリントを徐々に減らしていく方針に転換した。現時点では1キロのABS樹脂を製造するのに約2キロの石油が必要だ。同社はABS樹脂の3つの構成要素(アクリルニトリル、ブタジエン、スチレン)のそれぞれについて植物由来の素材やリサイクル素材を段階的に導入していくことにより、持続可能性の向上を目指している。ブロックの梱包に使用する使い捨てプラスティック袋を2025年までに廃止する計画も進めている。同社は2032年までにCO2排出量を2019年水準から37%削減し、持続可能な素材のみを使用する目標を打ち出している。

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