号外:再生可能エネルギー発電、送電線は誰がつくる?

地球温暖化への対策として再生可能エネルギーの利用を拡大し、脱化石燃料を進めなければならないことは、世界の共通理解になっています。しかし日本国内の体制作りが思うように進んでいないことが心配です。太陽光や風力といった再生可能エネルギーの発電量は時間や気候に左右されます。せっかく獲得した電力を無駄なく有効に利用するためには送電網の整備が必須です。その建設費用負担に関係した話題なのですが、これはしっかり対応すべき大切なポイントです。もたもたしているとせっかくの電力が無駄になり、再生可能エネルギーの利用も広がりません。

2023年10月10日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

立地に適した地方ほど負担が重い。こんな不条理が再生可能エネルギーの歩みを鈍らせる恐れがある。「再生可能エネルギーの適地に住む消費者に過大な負担を求めるのは、避けるべきではないか」。9月27日に経産省が開いた有識者会議で、参加した委員からこんな声がでた。太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの発電量は自然に左右される。多くの場合、立地に適するのは豊かな自然が残る地方だ。消費地である都市から離れていれば、送電線が必要になる。この建設費用を誰が担うかが問題だ。”

地域をまたぐ設備のコストのうち大半は電気代に全国一律で上乗せしてまかなう見込みだ。一方で北海道の中など地域内では事業者や住民の負担になる。「送電線の費用を売電収入で確保することを考えると、新たな投資は難しい」(都内の風力発電事業者)。”

政府は温暖化ガスの排出を2050年には実質ゼロに減らす目標を掲げる。再生可能エネルギーの拡大は不可欠で、送電線などの投資に11兆円以上が必要と見込む。地域間の設備コストはこのうち6兆~7兆円分とされており、地域内での投資にも数兆円がかかる。政策面では事業者の支援が浮上する。今は地域間が対象の支援をどこまで広げるかの線引きが焦点だ。27日の会合で専門家は、前向きな事業者や地域の人ほど負担が増える制度にはならないようにとクギを刺した。”

“再生可能エネルギーは太陽光を中心に電源全体の2割まで増えたが、送電線を通じて使う場所まで届けられない電気が活用できずに捨てられる事例も増えている。電気が売れないと事業者の収入が減り、新たな投資意欲をそぐ。日本はエネルギーの大半を輸入する化石燃料に頼る。燃料の高騰や円安を受け、政府はガソリン代や電位ガス代への購入補助に巨額の予算を投じている。将来を見据えて投資すべき対象はなにか。国策であるエネルギー戦略に向き合う政府の姿勢が問われている。”

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