号外:気候変動による災害・異常気象、途上国に集中

発展途上国では多くの人々が劣悪な社会インフラや住環境のなかで生活しています。これまでの温暖化ガス排出量が少なく、これから発展していこうとしている国々に、気候変動による災害が集中し、そこに住む人々が甚大な被害を受けるというのは不条理な話です。これ以上の地球の温暖化を避けるためには、世界各国が協調して温暖化ガスの排出量を削減しなければなりませんが、それと同時に、今現在気候変動による災害に直面している人々への支援を強化する枠組みが必要です。

2023年11月28日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

ソマリアの水害

気候変動のしわ寄せが発展途上国に向かっている。国際非政府組織(NGO)オックスファムの報告によると、過去50年間で気候変動により発生または悪化した災害や異常気象の死亡者のうち91%が発展途上国に集中していた。大幅は温暖化ガス(GHG)排出削減が実現しない限り世界的格差の拡大が続く可能性が高い。報告は特に新興・途上国が多い、いわゆるグローバルサウスにおけるリスクを指摘した。こうした地域の貧困層は劣悪なインフラや住居での生活を強いられており、気候変動の影響で悪化する災害に対応が追い付いていない。オックスファムが11月26日までに発表した。”

異常気象のほか、海面上昇、砂漠化、生態系の崩壊も深刻化しており、食糧危機や水不足といった壊滅的な被害が広がっている。さらに、オックスファムが特定した気候変動による被害・リスクが最も大きい25の途上国のうち、14の国では紛争が続いている。国内外の格差がさらに拡大する恐れがある。”

世界全体を見ると、所得上位1%の富裕層によるGHG排出量は2019年、全体の排出量の16%を占めた。下位66%にあたる約50億人の合計と同等の排出量だ。オックスファム・アメリカの担当者、アシュファーク・カルファンしは動画声明で「気候危機が世界的な格差を広げ、それがさらなる気候危機を招いている」と述べ、悪循環に警鐘を鳴らした。”

各国政府によるGHG排出量の制限は不十分だとの指摘は多い。国連環境計画(UNEP)が11月20日発表した報告書によると、各国が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で定めたGHG排出削減目標(NDC)を今から完全に守った場合でも、21世紀末までに世界の平均気温が産業革命前と比べてセ氏2.5~2.9度ほど高くなる。

11月30日にはアラブ首長国連邦(UAE)で第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP 28)を開くが、気候変動による異常気象はすでに多くの命を危険にさらしている。世界的な格差是正のためにも各国政府による排出制限の遂行が迫られている。”

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