号外:「地球は破綻しつつある」、国連事務総長 at COP28
2023年12月2日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、
“アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は12月1日、首脳級会合が始まった。国連のグテレス事務総長は演説で「地球のバイタルサイン(生命兆候)は破綻しつつある」と温暖化対策の遅れに危機感を示した。グテレス氏は世界の気温上昇を産業革命前より1.5度以内に抑える2015年のパリ協定に触れ「世界はパリ協定の目標から何マイルも離れている」と指摘。「今行動すれば最悪の混乱を避けられる」と述べた。”
“1.5度目標を達成するには「最終的に全ての化石燃料の燃焼を停止した場合にのみ可能だ」と主張し、化石燃料の廃止を訴えた。再生可能エネルギーはかつてないほど安価になっているとして、利用を拡大すべきだとの立場を強調した。チャールズ英国王も、世界の気候変動対策が「軌道から大きく外れている」と指摘した。温暖化ガスの排出量が世界規模で増えていることに触れ「COP28が真の変革に向けた重要な転機となることを心から祈る」としたうえで「地球は私たちのためのものではなく、私たちが地球のものなのだ」と強調した。”
“開幕初日となった11月30日には、気候変動で干ばつや洪水などの被害を受けた途上国を支援する基金制度の内容で合意した。初日の会合で参加国が一定の成果を出したかたちだ。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、基金をめぐる合意について「我々は最も脆弱な市民を守るための決定的な一歩を踏み出す」と指摘。「ドバイでの会合が歴史を作ることができると信じている」と強調した。COP28ではパリ協定の目標達成に向けた対策の進捗を世界全体で検証する「グローバル・ストックテイク(GST)」が行われる見通し。GSTは今回のCOPを皮切りに、5年ごとに実施される。このほか、温暖化ガス排出削減などの重要課題で実効性のある合意に至れるかが焦点となる。”