号外:再生可能エネルギー拡大「2030年に3倍」、COP28で誓約

COP28での成果を伝える記事です。

IEA提言、再生可能エネルギー「2030年に3倍必要」>の項を参照

2023年12月2日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

COP28に参加した各国首脳

“アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は12月2日の首脳会合で、再生可能エネルギーのさらなる導入策を協議した。118ヶ国が2030年までに世界の再生可能エネルギーの容量を3倍に拡大することを誓約した。少なくとも再生可能エネルギー容量を1万1000ギガワット(110億キロワット)に増やし、エネルギー効率の倍増を目指す。米国、欧州、UAEが共同提案した。日本も加わっており、アジアやアフリカの新興・途上国にも参加を呼びかける。実現すれば温暖化対策を進めるCOP28の大きな成果となる。約200ヶ国が参加するCOPの最終合意文書への明記をめざす。議長を務めるUAEのスルタン・ジャベル産業・先端技術相は2日「排出削減対策のない石炭利用から、世界を移行させるのに役立つ」と述べた。”

国際エネルギー機関(IEA)は9月に公表した報告書で、世界の気温上昇を産業革命前から1.5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標を達成するに「再生可能エネルギー3倍」が必要だと訴えていた。9月にインドで開かれた20ヶ国・地域首脳会議(G20)でも「再生可能エネルギー3倍」が首脳宣言に盛り込まれていた。COPを機に世界的な合意形成が進められるかが焦点となる。京都議定書のような罰則はない。事実上の努力目標の実効性を保つため、国際機関などが進捗状況を毎年検証する仕組みも検討する。ただ、実際に世界で十分な温暖化対策が進むかどうかは見通せない。

世界の温暖化ガスは減る兆しがなく、途上国のCO2排出量は21世紀になってから2倍に膨らんだ。英オックスフォード大学などが運営する「アワー・ワーグド・イン・データ」によると経済開発協力機構(OECD)に加盟していない途上国の化石燃料由来CO2排出量は2010年から2021年に3割弱増えた。21世紀になってから、中国は3.1倍、ブラジルは41%、ロシアは16%増え、東南アジア諸国もインドネシアとマレーシアは2倍程度、ベトナムは5.5倍になった。

EUの気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、2023年1~10月の世界の気温は1850~1900年の同期間の平均より1.43度高かったと分析した。厳しい状況を直視し、今後の各国の削減目標に反映する時期にきている。COP28では、パリ協定に基づく温暖化ガスの削減の進捗を初めて点検する。「グローバル・ストックテイク」と呼ぶ取り組みで、各国の対策に反映する。”

「約束を実施する窓は急速に狭まっている」。COP28でのグローバル・ストックテイクに向け、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局が2023年9月に公表した報告書はこう言及した。世界全体の排出量はパリ協定の目標に整合していないと指摘した。報告書は再生可能エネルギーの導入拡大や、CO2を地中に埋めるなどの対策をとっていない化石燃料の段階的廃止などが必要と強調する。今回まとめた誓約でも、アジアやアフリカの国・地域を巻き込んだ動きにできるかが注目される。COP初日の11月30日には、途上国の気候変動被害からの復旧を先進国を中心に支援する基金の枠組みで合意した。COPで毎回表面化する先進国と途上国の対立を乗り越え、迫る気候危機に世界が真摯に向き合う姿勢が必要になっている。”

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