号外:「新人類」すべて還暦に

新聞記事の中に「新人類」というなつかしい言葉を見つけました。一般的には戦後の1955~64年に生まれた世代のことだそうです。私は1959年生まれですから、新人類のど真ん中ということになります。その新人類がみんな還暦を迎えます。還暦を迎えた新人類が消費トレンドに影響を与えるという話題ですが、少し不思議な気分がします。みんな年を取ったということですね。

2024年1月18日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

1980年代、当時の若者を指す言葉として登場した「新人類」。一般的には戦後の1955~64年に生まれた世代のことで、常識を打ち破る革新的な人々を意味した。Z世代からすると、「いまだにパソコンやスマートフォンをうまく使いこなせない世代が革新的?」と疑問視するだろう。しかし80年代の社会の中核だった戦前生まれからすると、伝統的な価値観に縛られない当時の20代は理解できなかった。ちなみに1955年生まれの世界の著名人には米アップルを創業したスティーブ・ジョブズ氏、米マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツ氏がいる。”

“トレンド評論家で、立教大学大学院客員教授の牛窪恵氏は2024年の消費動向でまさに「新人類」に注目する。というのも新人類の最若手、1964年生まれも還暦を迎えるからだ。これまで3世代消費は祖父母が孫にモノを買い与える姿だったが、これが変化。牛窪氏は「動画共有アプリのTikTok(ティックトック)のように、祖父母が孫と一緒に新しい消費を楽しむ動きがより顕著になる」と語る。例えばダンス曲「マツケンサンバ」を踊るマツケンこと俳優の松平健さん。時代劇で一世を風靡した後、コミカルなキャラクターとしても人気を博した。そして2023年秋にはマツケンとして、小学生の女子向けマンガ雑誌の表紙に異例の抜てき。新たな3世代消費を象徴している。”

“2024年を占うキーワードで、博報堂生活総合研究所は「ひとり消費」にも着目する。同研究所の30年間のデータによると、ひとりの時間を好む比率が増え、2023年は60%近くまで上昇した。例えば1993年は昼休みにひとりでいたい人が全体の43%だったが、2023年は75.9%に達した。行動・意識の細分化がさらにマーケティングを変えるという見立てだ。”

“実際、意外なものまで「ひとり用」として世に登場している。囲碁だ。創業100年を超え、高級碁石を製造する黒木碁石店(宮崎県日向市)はクラウドファンディングを活用し、2023年秋に碁石とミニ碁盤のセット「GODIANA(ゴディアナ)」を売り出した。囲碁人口が減る中、新型コロナウイルスの流行がリアル対局を難しくしてさらに苦境に。そこで「囲碁の常識にとらわれず、5 X 5のライト感覚で需要の喚起を狙った」(黒木宏二代表)。焦点をあてたのは、新型コロナウイルスの流行で拍車がかかったひとり型の消費だ。かつては大人数で楽しんだキャンプもひとり型が定着。1人で瞑想(めいそう)する座禅も人気を呼ぶ。そこで縦横の線を5本の5路盤にして初歩を学べ、高級碁石の手触り感で「1人で自分と向き合う時間」向けにこだわった。ちなみにゴディアナとは囲碁の英語表記「GO」と禅を意味するサンスクリット語の「ディアナ」を合わせた造語だ。”

常識を気にしないかつての「新人類」が還暦を過ぎ、集団で楽しんできたサービスやモノがひとり用に作り直されるだろう。中島みゆきさんの歌ではないが、「ひとり上手」が消費を左右する。”

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