号外:気候危機によって「失うもの」を印刷したレシート

地球温暖化による気候変動と、その影響による様々な災害について、私たちは頭ではわかっていても(情報の理解)、なかなか温暖化を抑制するために自分自身の生活様式を変える(行動変容)ことにはつながっていないように思います。「情報の理解」がスムーズに「行動変容」につながらない理由は、情報の理解が「実感」を伴っていないからでしょうか。この「情報の理解」と「行動変容」の間にあるギャップを埋めるために、スペイン実施された活動を紹介した記事です。

2024年1月10日付けYahoo Japan SDGsに掲載された記事より、

長いレシート

日本では、気候変動によって生態系の変化や異常気象の発生などさまざまな影響が生じることを理解している人は87.6%におよぶ(内閣府「気候変動に関する世論調査」、令和5年7月)。世代を超えて、多くの人が気候危機を把握していることがうかがわれる。にもかかわらず、気温上昇は続いており、危機を頭で理解していても、すぐに大きな行動変容につなげることは難しいようだ。その要因のひとつは、気候変動による変化を実感しにくい点だろう。特に都市部に住んでいると、動植物が姿を消していく様子や、農作物が育ちにくくなる現状を、実際に目にすることは少ない。迫りくる変化を明確に理解していなければ、脱炭素化などの対策に消極的になることも、無理はないのかもしれない。”

“それならば、気候変動による変化が「見える」ようになったら、より多くの人がアクションを起こすようになるかもしれない。そんな気候変動による影響を「可視化」するアイディアが、スペインで実践された。2023年12月3日、スペイン・マドリードの路上で、史上最長だという30メートルのレシートが姿を現した。紙に書かれているのは、「化石燃料などが引き起こす気候変動によって、私たちが失うもの」だ。グレートバリアリーフなどの美しい自然から、ワインのような身近なものまで、145もの「自然の恵み」が列挙されている。以下に示すのは、その一部だ。”

“「健康、空気、水、ビーチ、コルク、ビール、チョコレート、アボガド、カナリア産バナナ、オリーブオイル、マナティー、ジャイアントパンダ、コロンビア産コーヒー、ゴールデンライオンタマリン、イベリコ豚、シロフクロウ、ヒゲワシ、ガスパチョ、エベレストの頂上」”

マドリードの路上の30mのレシート

この取り組みは、同時期にドバイで開催されているCOP28に対し、石油とガスを含む化石燃料の使用廃止に向けた確固たる合意を要求するため、デモ行進のなかで披露された。WWF Spain(World Wildlife Fund:世界自然保護基金)が世界的若者ムーブメントFridays For Futureなどを含む70以上の組織やプラットフォームと協力し、今回のデモを実施した。レシートのアイディアは広告代理店であるM&C Saatchiとの協働によるものだ。WWF Spainは今回の取り組みに対する思いを、自社ウェブサイトで次のように語っている。”

“「人、健康、不平等の削減、そして気候正義を中心に据えた前例のない変革が求められています。また、手つかずの自然や都市環境を市民以外のいかがわしい利益から守るために戦う地元のプラットフォームや組織の強さを強調した変革が必要です。(中略)気候危機は、それを引き起こした責任が最も少ない人々に対して不当な影響を与えているのです」”

“気候正義に対する関心が高まっており、この動きはスペインだけに留まらない。COP28の開催にあたり、世界中から気候正義を求める声があがり、SNSでは多くの活動家や非営利組織が政府の動きひとつひとつを注視している。市民の声や注目は、果たしてドバイまで届いたのだろうか。COP28が閉幕したとき、脱炭素に向けて意義ある約束を伴って、世界が前進していることを強く求めたい。”

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