号外:コーヒー豆の2050年問題

皆さん、コーヒーはお好きですか?私は毎朝、起きて活動を開始する前にコーヒーを一杯飲みます。目を覚ますということもあるのですが、すっかり習慣になっていて、朝のコーヒーがないと一日が始まらない感じです。コーヒーは好きなのですが、一日に何杯も飲むほどのコーヒー・マニアではありません。「コーヒー豆の2050年問題」というのは、気候変動の影響で世界のコーヒー豆産地が2050年までに半減するとされる問題です。もしそうなったら価格も高騰して、コーヒーを気軽に楽しむことができなってしまうかもしれません。ちょっと心配です。

2024年3月18日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

気候変動の影響で世界のコーヒー豆産地が2050年までに半減するとされる問題で、日本企業が問題解決に向けた取り組みを始めた。大手商社は生産効率や農園経営の改善に向け、中南米農家を支援。コーヒー各社は栽培や焙煎過程で脱炭素化を進め持続可能な製品開発に努める。コーヒー豆生産の6割を占めるアラビカ種の国際価格指標であるニューヨーク先物(期近)は2023年12月中旬に1年2ヶ月ぶりの高値をつけた。天候不順による不作懸念が主因で、足元でも価格が比較的安定していた2020年以前比で約2倍の水準で推移する。”

「気候変動への脆弱性や小規模農家のリスクが日に日に強まっている」。UCCジャパンの中村知弘サステナビリティ推進室長は2月に都内で開いたサステナブル・ブランド国際会議の講演で強調した。アラビカ種の栽培適地は北緯25度~南緯25度の「コーヒーベルト」だ。味を凝縮するため、昼夜の寒暖差がある標高の高い地域で栽培されている。アラビカ種は香りが良く飲みやすいコーヒーに仕上がる一方、病害虫や気温の変化に弱い。栽培適地は今後、さらに標高の高い地域に絞られる見通しだ。米コーヒー研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)は2050年までに半減すると試算。「コーヒー豆の2050年問題」として警告する。”

栽培適地が半減すれば、生産効率が向上しない限り生産量は減る。コーヒー豆の需要拡大もあり「価格の上振れリスクが発生する頻度が年々高まっている」(伊藤忠商事の立田昌宏コーヒー課長)。コーヒー生産の大半を占める零細農家の離農も供給減に拍車をかける。不安定な収入や生産コストの上昇、人手不足が理由だ。栽培適地が特に標高の高い地域に限られると、収穫や出荷作業の労力や費用が増えかねない。”

大手商社などは零細農家の支援に乗り出した。伊藤忠はグアテマラなど中南米の産地で現地輸出会社と協力し、肥料の巻き方など生産効率を高める方法や農園経営のノウハウを農家に直接指導する。「安定的に高品質な豆を提供してもらうために生産者と直接接点を持つことが極めて重要」(立田氏)という。”

土壌改善や品種改良などの支援も進む。化学肥料の多量使用は温暖化ガス排出のほか、土壌の質の悪化につながる。味の素AGFは、うま味調味料の生成過程後の副産物を利用したアミノ酸由来の肥料「AJIFOL」のブラジルやベトナムなどの農園へ導入を進める。「AJIFOL」は有機肥料のため、土壌の質を維持しながら生産性を上げられるという。キーコーヒーは、気候変化に強い品種改良に力を入れるWRCに参画し、インドネシアにある直営の農園で品種栽培試験する。WRCは5000品種を検証し、絞り込んだ上で実用化もにらむ。焙煎では脱炭素化が進む。熱源は一般的に天然ガスだが、UCC上島珈琲は2025年4月、水素を燃料とする焙煎機を一部工場に導入する予定だ。他の熱源より加熱時に使える熱風の温度帯が広く、独自の味わいや風味を出すこともできるようになるという。様々な場面で日本勢の存在感が高まりそうだ。”

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