号外:再生可能エネルギー活用へ送電網増強

2024年3月12日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

再生可能エネルギーを無駄なく使うため、官民が各地域を結ぶ送電網を増強する。北海道と本州をつなぐ送電網の容量を2030年度にも今の3.5倍にし、九州と本州間の整備にも着手する。北海道や九州など再生可能エネルギーの発電地域と大消費地の本州を接続し、2050年の脱炭素実現をめざす。

送電線

“電力会社が加わる国の認可法人「電力広域的運営推進機関」は2023年3月に送電網の増強計画を決めた。再生可能エネルギーが国内の電源の半分程度に増えることを想定し、投資総額は6兆~7兆円を見込む。増強計画の第1弾として、3月下旬に北海道から秋田県を経由して新潟県につながる海底送電ルートの詳細を決める。総工事費は1.5兆円~1.8兆円程度になる可能性がある。事業者を2024年度に公募する。北海道と東北を結ぶ送電網の現行容量は90万キロワット。原発1基分の出力に相当する。海底ルートが整備されれば200万キロワットが追加される。これとは別に現行送電網に30万キロワット上澄みする計画も進める。北海道と東北間はあわせて320万キロワットまで増える。東北と東京間の送電容量も強化される。

“広域機関は2024年度に九州と中国をつなぐ送電網の増強工事を担う事業者の選定も始める方針だ。100万キロワット分の増強で3700億円~4100億円程度の工事費となる見通し。容量は3割程度増える。工事にかかる費用は再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せしている賦課金や、送電網維持のために電力小売り業者が利用量として支払う託送料金でまかなう方向だ。具体的な支援額や割合といった詳細は今後詰める。”

送電網の増強計画

送電網を増強するのは、再生可能エネルギーを効率よく使うためだ。再生可能エネルギーの適地は九州や北海道などだが、九州では再生可能エネルギーの発電を一時的に止める「出力制御」が増えている。電気は発電量と使用量をそろえないと周波数が乱れて停電する恐れがある。使用量を発電量が上回れば、電力需給のバランスを保つため再生可能エネルギーの発電を一時停止するルールだ。これではせっかく再生可能エネルギーでつくった電力を十分に使えていないことになる。北海道や東北は再生可能エネルギーの適地と期待される一方、首都圏では原子力発電所の再稼働遅れなどの影響で電力需要が大きい夏や冬に電力不足が続く。地域間で電気を融通できる送電網を増強して、再生可能エネルギー電気の無駄を減らす。

北海道では今後、再生可能エネルギー普及のカギを握る洋上風力の導入が風況に恵まれた日本海側を中心に見込まれる。再生可能エネルギーが道内だけで消費できない規模に増加して他の地域に送れる電力が少なければ、再生可能エネルギーの普及が進まないうえ関連事業者の育成にもつながらない。資源エネルギー庁は再生可能エネルギーの導入が進む中で送電線を増強できれば、北海道で最大で5割程度と見込む出力制御の再生可能エネルギー電気の割合が、数パーセント程度まで減らせると試算する。九州でも設備の導入が進む太陽光発電の出力制御が増える事態の解消をめざす。”

日本は現在の電源構成の7割を火力発電が占める。2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにする脱炭素目標の実現に向け、再生可能エネルギーの発電に適した北海道や九州の電気を東京や大阪に送って消費する体制の整備が急がれる。

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