「アンファッショナブル」なパタゴニア①

以下にご紹介する内容はちょっと極端な例で、「パタゴニアだから」という側面もあります。しかしこれからのアパレル企業が求められる方向性を示している事例です。「アンファッショナブルじゃつまらない」と思うのか、「アンファッショナブルに地球環境と共生する」ことに価値を見出すのか。その違いが生み出す結果は、私たちではなく、将来の世代が経験することになります。

2024年5月19日付け日本経済新聞電子版(日経MJ)に掲載された記事より、

ジェナ・ジョンソン社長

「Don’t Buy This Jacket」「Better Than New」など型破りのマーケティングで知られる米パタゴニアが「アンファッショナブル」(ファッションは私たちには関係ない)というキャンペーンを国内外で始めた。流行を前提とするアパレルビジネスにノーを突き付ける。その真意は。米パタゴニアのジェナ・ジョンソン社長に聞いた。”

“「アンファッショナブル」という言葉にはどんな意味が込められているんでしょうか?”

「流行を絶えず追いかけること、特にファストファッションのやり方は地球環境や社会にとって極めて有害です。流行に左右されない、高品質かつ丈夫な服を長くきることの大切さ、私たちの哲学を『アンファッショナブル』という言葉で表現しました」「安い流行の服を見れば欲望に火がつき、衝動買いをしたくなりますよね。消費行動を企業が変えるのはとても難しい挑戦です。だからこそムーブメントを起こす必要があります」”

アンファッショナブル+リジェネラティブ

“今年は創業52年目に入りました。次の50年でパタゴニアが目指すビジネスの方向性は?”

“「これまでの50年で、環境や社会に正しいことを行えば顧客に認められ、結果的にビジネスとして成功できると世に示しました。これからは、ビジネスのあり方を細部にわたり地球の資源を使う『採取』から『リジェネラティブ(再生)』へ移していきます。モノを作っている限り地球の資源を使わざるを得ませんが、地球への悪影響をできる限り減らすだけでなく、好影響を与えていきます。この大きな挑戦が私たちの原動力です」”

“具体的にはどんな取り組みですか?”

「温室効果ガスの大半は(原材料調達から生産、流通、販売までの)サプライチェーンで発生します。石炭由来の電気で稼働している多くの取引先が再生可能エネルギーへ移行するよう支援します。CO2排出量を削減するだけでなく、安全で健康的な職場環境につなげます。染料が川に流れ込まないようにして川を再生する手伝いなど、工場周辺の環境改善にも取り組んでいます」「インドでは農家と協力しリジェネラティブ・オーガニック(環境再生型有機)農法を進めています。健全な土壌を育成し、農家もうるおう仕組みを作ります」「課題は尽きません。しかし、アパレル産業が世界で排出される温室効果ガスの最大10%を占めるという責任の大きさを考えると、与えるインパクトは大きい。私たちが得た知識や青写真を他のアパレルが応用したいと思ってくれたら、願わくば他の製造業にも波及すれば、これほどうれしいことはありません」”

“世界的に古着の人気が高まっています。古着販売の状況は?”

“「具体的な数値はいえませんが絶好調です。クローゼットにはどんな服があるか、最近来ていない服はどれかと考える人が増えています。若い世代は気候変動問題で消費者が果たす役割を認識し、破れをパッチで補修し自己表現を楽しむようになりました」「ただ、複雑で難しいビジネスであることは確かです。私たちにとって古着は、それ単独ではなくパタゴニアのビジネス全体の一部。流行は追わず品質が良く長持ちし、修理のしやすさを考えて新製品を作ります。世界各地に修理センターがあり、米国だけで年間10万点以上を修理しています。修理を受け付け、古着を増やし、徐々に新品購入を減らす方向へと消費者の背中を押していきます」”

“古着ビジネスの成功のカギは何でしょう?”

「何より高品質の製品を作らなければ話になりません。良質な修理サービスの提供も必要です。新製品を売ったら終わりではなく、購入後も顧客にコミットすることです。」

“創業者のイヴォン・シュイナード氏は2023年のインタビューで現在15億ドル(2340億円)の売上高はあと数年で20億ドルに達するだろうと言及していました。どこまで規模の拡大を目指しますか?”

“「私たちは成長を第1に考えてビジネスをしているわけではなく、規模が大きくなるほど影響力が増すものではありません。既に私たちは事業規模をはるかに超える影響力を持っています」”

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