THINK ECO:帝人フロンティアの環境活動指針

「THINK ECO」帝人フロンティア(株)の環境活動指針です。帝人フロンティア(株)は衣料用合成繊維素材および製品(縫製品)、産業用合成繊維素材の製造・販売を主とする、帝人(株)のグループ会社です。以下のような環境活動方針を掲げています。

THINK ECO:資源の大量採取、大量生産、大量消費、大量廃棄、これが今の経済の縮図です。そして今の経済活動は地球の収容力を大幅に上回っており、持続可能ではない状態となっています。私たちは、生産者として、また消費者としても、すみかである地球に責任を持たねばなりません。一企業、一個人ができることは限られていますが、帝人フロンティアは、「Think Eco」という活動を通じて、今できることを一歩一歩前に進めていきたいと考えています。私たちが提供する「モノ」にもっと思いを馳せ、また将来世代のことを考えながら、日々のビジネスの中でチャレンジしていきます。”

「THINK ECO」の詳しい内容については帝人フロンティアのHPを参照してください。

https://www2.teijin-frontier.com/csr/environmental.html

合成繊維の主要品目はポリエステルです。帝人フロンティアではポリエステル繊維のリサイクルを推進しています。新たな石油を使わず資源を有効活用し、環境負荷低減に貢献するビジネスです。

エコペット回収された使用済みペットボトルを原料とし、マテリアルリサイクル工程を経て生産されたポリエステル繊維です。例えば500mlのペットボトル800本(1本あたり20gとして換算)から、約100枚のTシャツが生まれます。

帝人フロンティアのエコペット

エコペットプラス回収された使用済みポリエステル製品等(ペットボトル、繊維製品、フィルム)からケミカルリサイクル工程を経て生産されたポリエステル繊維です。石油から作られる未使用ポリエステル繊維と同等の高品質で、機能性や感性を付加できます。

帝人フロンティアのエコペットプラス

またバイオ由来原料の使用も進めています。ポリマーの一部に植物由来原料を使用した素材でCO2削減や化石原料の消費低減に貢献します。

ソロテックス(PTT)石油由来のテレフタル酸とバイオ由来の1-3プロパンジオール(全ポリマーの約37%)を重合した繊維素材です。らせん状の特異な分子構造を持ち、ソフトな風合い、形状回復、ストレッチ性、クッション性等の特徴を持っています。

プラントペット(PET)石油由来のテレフタル酸とバイオ由来のエチレングリコール(全ポリマーの約30%)を重合したポリエステル繊維です。

ペットボトルは精度の高い素材分別が可能なため、マテリアルリサイクルで繊維化することも可能です。しかし使用後衣料品については、前にも触れたように、素材分別が難しいため、マテリアルリサイクルではリサイクル後の製品とその用途が極めて限定されています。

縫製工場から出るポリエステル100%生地の端材や、うまく製品設計して、使用後衣料品から、精度高くポリエステル素材を分別できれば、上記のようにケミカルリサイクルが可能です。ケミカルリサイクルの場合は、未使用素材と同等の品質が期待できますが、経済性の面が課題になります。原料(使用後ポリエステル繊維)の回収システムを含めて、一定量以上を安定的に処理できる体制の構築が必要です。

バイオ由来原料について、上記では石油由来のテレフタル酸を使用していますが、バイオ由来のテレフタル酸の合成は技術的には可能とのことです。しかし難易度が高く、現時点では実験室段階のようです。バイオ由来のテレフタル酸が現実的なコストの範囲で量産化できれば、100%バイオ由来のポリエステルを得ることができます。

石油由来であろうと、バイオ由来(化石原料の消費削減)であろうと、ポリエステルのような合成繊維のマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルにはそれぞれ繊維製品に特有の色々なハードルがあります。しかし、そのハードルを乗り越える技術を開発し、システムを構築しなければ使用後衣料品のリサイクル(循環的素材利用)が進みません。

衣料品のマテリアルリサイクル:その実態と限界

衣料品のケミカルリサイクル:その可能性と制約>の項参照

どうしてもリサイクルが難しく、焼却してCO2を排出するしかないのであれば、生分解処理のような異なるアプローチから廃棄物の減量をはかる必要があります。衣料品は私たちの生活に密着した必需品です。必需品だからこそリサイクルが必要です。色々な企業が知恵を絞っていますが、私たち消費者も含めて、あきらめずに前向きに取り組んでゆきたいと思います。

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