広域認定制度について

「広域認定制度」については、<使用後衣料品の回収:リサイクルする前に>の項でも触れましたが、もう少し詳しく見ておきたいと思います。この制度は衣料品に限らず、環境大臣の認定により、安全性が確認された廃棄物のリサイクルを広域に(自治体の枠を超えて)推進するための制度です。

環境省HPより:広域認定制度

“本制度は、製品が廃棄物となったものであって、当該廃棄物の処理を当該製品の製造、加工、販売等の事業を行う者(製造事業者等)が広域に行うことにより、当該廃棄物の減量その他その適正な処理が確保されることを目的とし、廃棄物処理業に関する法制度の基本である地方公共団体毎の許可を不用とする特例制度である。”

“製造業者等が処理を担うことにより、製品の性状・構造を熟知していることで高度な再生処理等が期待できること等の、第三者にはない適正処理のためのメリットが得られる場合が対象となります。したがって、単に他人の廃棄物を広域に処理するというだけでは認定は受けられません。”

廃棄物の広域認定制度

広域認定制度は、製品の製造事業者等(製造・加工・販売等の事業を行う者)が、廃棄物となった自社の製品をユーザーから回収してリサイクルすることを目的とした制度です。製造業者責任の考え方から、製造者は製造・販売だけでなく、製品が使用済みとなった後の回収リサイクルまで提供するという動きが続いており、広域認定はそれを実現する手段として活用されています。本来、廃棄物の運搬や処分を行うためには処理業の許可が必要です。日本全国から廃棄物を回収するためには、産業廃棄物は47の都道府県、一般廃棄物は1000以上の市町村から許可を受けなければなりませんが、広域認定の場合は国(環境大臣)の認定だけで回収が可能となります。産業廃棄物の場合はマニュフェスト(産業廃棄物管理票)も不要となります。

具体的には、複写機やプリンター、トナーやプリンターインク、業務用カーテンや産業用蓄電池等でこの制度が活用されています。使用後衣料品(廃衣料、古繊維)については、一般廃棄物の場合は「専ら物」として扱われ、企業ユニフォーム等(産業廃棄物)の場合に「広域認定制度」を利用して回収・リサイクルしている事例があります。

廃棄物は、一般廃棄物であれ産業廃棄物であれ、廃棄物処理法の規定にしたがって処理しなければなりません。「広域認定」にしろ、「専ら物」にしろ、いずれもリサイクル(再資源化)を推進するための特例制度です。「専ら物」は再資源化する4品目に限定されており、リサイクルされないもの(廃棄物)は「広域認定」の対象になりません。特例制度を利用して使用後製品(廃棄物)を回収したとしても、リサイクルする技術や設備が必要です。またリサイクル後製品の用途を考えておく必要もあります。新しい素材や技術によってリサイクルできる製品や用途を広げてゆくことが課題です。

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