号外:中国の自動運転清掃車、ごみ分別もお手の物

中国からのニュースには時々大変驚かされます。今回はごみの分別ができる自動運転の清掃車の話です。このところ、自動運転について話題になることが多いのですが、物流関係よりも清掃車の方が自動運転の利用価値が高い(?)という話です。

2019年10月10日の日本経済新聞に掲載された記事です。

“自動運転の中で、実用化が最も早く進んでいる分野のひとつが、都市部の清掃車両だ。「揚州零炭環保科技有限公司」は2018年1月に設立され、同社の主な製品は「掃地僧」という自動運転清掃車だ。同社の創業者は、人間を煩雑な単純労働から解放することがAIの価値だと考えている。現在世界では約5億人が清掃作業に従事しており、中国の場合、地方の中小都市でも、年間の清掃サービスの売上は2億元(約30億円)に上る。このような都市が3000ほどあるため、国内の市場規模は6000億元(約9兆円)と巨大だ。”

“自動運転による清掃は、他の自動運転サービスと比べ、ビジネスモデルにおいて強みを持つ。自動運転の主なビジネスチャンスは人間の運転手の代わりになるという点だ。タクシーや物流の自動運転は1-2名の人間の代わりにしかなれないが、清掃車両なら8-10人の代わりになるという。また、事故の可能性を考えれば、ゴミを運ぶことのリスクは、乗客や荷物を運ぶことと比べ、大変小さい。さらに清掃車両は全世界共通で、どの国の清掃方法もほぼ同じだ。したがって、自動運転清掃車はリースの形式で海外に広げることが可能だ。”

中国の掃地僧

“また同社によれば、現在使用されている自動運転清掃車の大半は、同一エリアにおいて同じ方法で清掃するだけだが、「掃地僧」がゴミの種類を識別できる。ペットボトル、ガラス瓶、可燃ごみ等を識別し(独自センサー技術による)、それぞれに応じた清掃をする。さらに「掃地僧」は「清掃」と「回収」の2機能を兼ね備えており、別途回収車両を用意する必要がない。清掃車の内臓貯蔵庫が満杯になるまで、約10時間の稼働が可能だという。”

「掃地僧」をリースして場合のコストは、人間を使って清掃した場合の4/1程度になるそうです。人間が作業する場合には、別途通常の清掃車が必要です。同社では、今後5年間で、全世界に10万台の販売を目指しているとのことです。

そもそも「ゴミのポイ捨て」をしないように教育、周知徹底することの方が先なのですが、実際問題として街にゴミが散乱しているようであれば、清掃しなければなりません。日本では、会社の社会貢献活動の一環として、会社近くの清掃ボランティアを実施することがありますよね。私も経験がありますが、近ごろは思たよりもゴミが少なく、街中は比較的きれいな印象です。しかし中国や東南アジアの国々などでは、日本では想像できないくらい街中にゴミが散乱しているのでしょうね。そうであれば、都市部の路面清掃に自動運転車両を使い、人間の労力を減らすというのは効率的なのかもしれません。しかもゴミの分別までしてくれます。なんとなく釈然としないところはあるのですが、確かに大きなビジネスチャンスなのだと思います。

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