号外:森の再生でCO2削減

2019年7月9日のNational Geographic電子版掲載記事より

“地球全体にどれだけ森が広がれるかを調べた初の研究によれば、森林の再生が可能な土地は米国の広さほどもあるという論文が、7月5日付けの学術誌「サイエンス」に掲載された。そのすべてが森で覆われれば、過去100年近くのCO2排出量を相殺する実力があるという。

ロシアの湿原

“既存の都市や農業に影響を与えずに、世界の森林は現在のおよそ1.5倍にまで増やせるという。しかし、地球の気温が上昇するにつれ、森に適した土地も減ってゆく。「今回の研究は、森林再生が最善の気候変動対策であることを明確に示しています。」と論文の著者は話す。新たな森林が育つには何十年もかかるため、すでにある森林の保護や化石燃料の段階的な廃止が極めて重要であることに変わりはない。森林再生を通じてCO2を大幅に除去できれば、代替手段がまだない航空業界などから排出される温室効果ガスを相殺し、おそらく気温上昇の抑制にもつながると言われている。”

“樹木に限らず、あらゆる植物は光合成のために大気中のCO2と水を吸収する。それでエネルギーを得て、成長する過程で、酸素を大気中に放出する。木はCO2を吸収するほか、土壌が相当量の炭素を取り込むのを促進する。

国土の半分以上で森林を再生できるかもしれない国は、わずか6ヶ国しかないことが判明した。ロシア(1億5100万ヘクタール)、米国(1億300万ヘクタール)、カナダ(7800万ヘクタール)、オーストラリア(5800万ヘクタール)、ブラジル(5000万ヘクタール)、中国(4000万ヘクタール)である。”

“「木を植えることは誰にでもできます。明日からでも始められます。森林を再生させれば、炭素の排出を削減するための時間が稼げるのです。」「気候と私たちの命を維持するシステムを守るためには、森林を人類の最良の味方として尊重する必要がある。」と科学者は話している。“

“森林を育てるのに、適した土地があるかどうかはひとつの要素にすぎない。炭素を吸収する能力にとどまらず、森林をいう存在自体がはるかに重要だ。例えば、熱帯林には、全陸生種の90%が生息している。地球規模の環境問題は、気候変動だけではない。2019年、100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、私たちの経済、生計、食の安全、健康、生活の質の基盤(サステイナビリティ)そのものが脅かされている。

植林の効果(イメージ)

森林を再生しましょう。その前に既存の森林を保護しましょう。森を、里山を守りましょう。日本は国土が狭い国です。それでもできることは色々あるはずです。国内でも、規模は小さくても植林活動が繰り広げられています。可能な範囲で構わないので、是非とも協力してゆきたいと思います。既存の森林を守り、木を植えようとする国際的な取り組みもあります。2011年にドイツ政府とIUCN(International Union for Conservation of Nature:国際自然保護連合)の主導により始まった「ボン・チャレンジ」では、2020年までに1億5000万ヘクタール(ロシアの森林再生可能面積に匹敵します)、2030年までに3億5000万ヘクタールの森林を再生することに59ヶ国が合意しています。2014年の国連気候サミットの「森林に関するニューヨーク宣言」では、2020年までに森林破壊を半減させ、2030年までに根絶し、広大な荒廃地を回復させると各国が誓いました。史上最大規模の植樹運動である「1兆本植樹キャンペーン」では、世界中の学校に通う子供や地域社会に植樹運動が広がり、これまでに136億本の木を植えてきました。

木を植えましょう。森林を再生しましょう。既存の都市や農業に影響を与えずに実行できます。私たちにも実行できます。森林再生は、地球温暖化だけでなく、私たちの回りの多くの問題を解決する可能性があります。なによりも、自然に囲まれた生活を取り戻すことはとても大切なことだと思います。

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