号外:「おにぎり」が日本のコメを救う!?

2020年1月23日付け日経ビジネス電子版に掲載された記事より

このHPのテーマとは関係ないのですが、とてもおもしろい記事を見つけたので、ご紹介させていただきます。

“日本人の主食であり、食文化の基礎でもあるコメ。しかし、1人当たりの年間消費量は昭和37年度の118㎏をピークに減少傾向あり、平成28年度には半分以下の54㎏にまで減少している。しかし、日本人のコメ離れを食い止める、国内外に新たな需要を開拓する可能性があるのが「おにぎり」だ。2018年にはグルメガイド「ミシュラン」に浅草のおにぎり専門店「おにぎり浅草宿六」が掲載され。世界の注目を集めた。”

浅草宿六のおにぎり!

「おにぎり浅草宿六」は世界で初めてミシュランガイドに掲載されたおにぎり専門店で、今年で2年連続のビブグルマン(6000円以下で食事ができるおすすめのレストラン)として掲載された。昼夜ともに4升の米を炊き、120個のおにぎりを提供している。”

“店は1954年の創業以来変わらないカウンタースタイルで、20種類近い具から好きなものを選んでもらい、注文が入ってから握る。具は、塩鮭や梅、昆布などほとんどがおにぎりの定番品だ。おにぎりの命ともいうべき米は、毎年変わる。新米が出る季節に取り寄せ20種類ほどを検品して絞り込み、炊き比べ、さらに握って食べて決めると言う。全国各地の米が出揃う11月中旬くらいまでかけて選び、決まったら次の新米が出るまでの1年間同じ米を使い続ける。”

もともと地元の人が中心の店だったが、最近は日によっては観光客が9割近くにのぼる時もあり、海外からの観光客も少なくない。浅草の仲見世通りとは離れ、ふらりと通りかかる場所でもないので、わざわざ調べて訪れているようだ。実は今、おにぎりは海外で通じる日本食「スシ」「テンプラ」に続く一画に加わろうとしている。”

“1980年代にハワイで誕生した「スパムむすび」は、缶詰ハムのスパムを使った海苔巻きで、今やハワイではポピュラーなものだ。しかしこれを別にすれば、長きにわたって日本以外の国でおにぎりは普及しなかった。理由は、米の品種の違いと食習慣の違いだ。東南アジアなどで食べられるインディカ米や熱帯ジャポニカのうるち米は、粘り気が弱くパラリとした炊きあがりでおにぎりにまとめることができないのだ。また、中国や香港、朝鮮半島などでは、そもそも冷たいご飯を食べる習慣がない。”

“その香港でおにぎりを食べる文化を創り出したのが、おむすび専門店「華卸結」だ。百農社国際有限公司が2011年に第1号店をオープン。「100%日本米のおむすび専門店」を謳い、2019年12月時点で香港各地に72店舗を展開する。このほか、シンガポールで3店舗を展開する「samurice(さむらいす)」アメリカ・サンフランシスコで5店舗を展開する「ONIGILLY」ドイツ・デュッセルドルフ「WARAKU」など、世界各地で続々とおにぎり専門店が誕生している。日本国内のコンビニでも、おにぎりのパッケージには数年前から英語表記が入っている。日本で暮らす外国人や訪日外国人のおにぎり消費者が増えているからだ。

“なぜおにぎりが外国の人たちにウケているのか。片手で食べられて手が汚れないからスマホ世代にはもってこいの食べ物だ。中に入れる具材次第で、味の変化が付けられる。もう1つ注目すべき理由が、ベジタリアンやムスリム、ビーガンにとって、具材を選べば禁忌ではない食べ物である点だ。おにぎりは、食に対する様々な習慣などがある人々にとって現地であるいは旅先で、安心して食べられるメニューの1つ。世界マーケットで大きな可能性を持っている。

“日本では、弥生時代中期の遺跡からおにぎりらしきものが出土するなど、その歴史は古く2000年以上。定番でシンプルだからこそ、誰もが工夫し易く、具材で変化をつけやすい。最近では全国各地でおにぎりコンテストやイベントが開催され、活況を呈している。”

“おいしく家庭で作って食べるにはどうしたらいいのだろうか。米の品種には825種ほどあるが、実際に流通しているものは100種類ほどだと言う。おにぎりは冷めてから食べることが多いので、粒感と粘りがある米の方が握りやすく、おいしく感じられる。自分の好みに合った米を見つけるには、話題の米に気軽に挑戦してみることだ。梅や鮭、昆布など食べ慣れている具を入れて食べ比べると、米の味の違いが分かる。近年開発された新しい品種の米はどれも冷めてもおいしく、食感も米の甘さを維持するように改良されているとのこと。シンプルだからこそ、味の広がりも変化もつけやすい。おにぎりは米消費の世界を変える救世主になるかもしれない。

私も「おにぎり」は大好きです。まさに日本人のソウルフードですね。特にお弁当を持って出かけて、天気の良い屋外で食べるおにぎりは最高です。おにぎりが嫌いだという日本人は、少なくとも私の回りにはいません。その一方で、確かにお米を食べる量は少なくなりました。私が子供や若い頃は、そういう時代だったのですが、ご飯をたくさん食べていました。最近は、朝食はほとんどパンですし、年を取ってくると「炭水化物は控えなさい」などと言われて、ごはんを食べる量はずいぶん少なくなりました。余剰米だ、減反政策だと言われて久しくなりますが、一昔前と比べると、日本人1人当たりが食べるお米の量が半分以下になっていると聞くと、やはり驚きます。しかし「おにぎり」が注目されて、日本で、世界でお米の消費を拡大するきっかけになりそうだという話には、何かワクワクしてしまいます。

私と家族は、以前ドイツとアメリカ(カリフォルニア州)に住んでいました。欧州ではスペインで、アメリカではカリフォルニア州で、日本のお米に似たものを作っています。現地ではそれを食べていたのですが、食べているうちにその味に慣れてゆきます。日本から送ってもらった荷物の中に、新米を少し入れてもらったことがあるのですが、それを炊いて食べた時には、「ああ、お米ってこんなにおいしかったんだ!」と感動して、家族でパクパクいただきました。やはり私たちは、お米を食べる日本人だと再認識した経験でした。おいしいご飯を、おいしいおにぎりをいただきましょう。そして、おにぎりを世界に広めましょう。おにぎりは永遠に不滅です。

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