衣料品の市場規模とリサイクルの現状

アパレルショップ

私たちは毎日服を着ます。衣料品は私たちの生活に密着した必需品です。それと同時にファッションは自己表現でもあり、ひとりひとりがそれぞれの好みに合わせて服を選び、毎日着用しています。日本は四季がある国です。南国に暮らしていればシャツやズボンといったシンプルな服種を中心に選ぶことになるのでしょうが、日本では四季折々の気候に合わせた装いも必要です。その結果、私たちは結構な衣装持ちになっています。皆さんの家庭でも整理ダンスやクローゼットに入りきれないほどの服があることと思います。

繊維製品(衣料品)のリサイクルについてはあまり資料がそろっておらず、ちょっと古いデータになりますが国内での消費およびリサイクルの概要を示します。

(出典:日本化学繊維協会「繊維ハンドブック2014年版」、社団法人日本繊維機械学会「循環型社会と繊維 2010年」)

2009年の国内への繊維製品総供給量は198万トン(天然繊維:80万トン+化合繊:118万トン)です。そのうち衣料品として供給されたのは111万トンで、同年に廃棄された衣料品は94万トン、供給と廃棄の差である17万トンはタンス在庫と言われています。廃棄された94万トンのうち古着としてリユースされたものが13万トン(14%)、軍手や詰め綿としてリサイクルされたものが11万トン(12%)で、残りの70万トン(74%)はごみとして焼却されています。毎年タンス在庫が積みあがってゆくとは思えませんし、リユース、リサイクルされたものも最後は廃棄物になりますから、結局のところ供給量と同等の100万トン以上の衣料品が毎年ごみとなって焼却処理されていることになります。100万トンと言われても数字が大きすぎてなかなかピンときませんが、膨大な量であることはご理解いただけると思います。同じ出典ですが、同時期のガラス瓶のリサイクル率は91%、アルミ缶、スチール缶が85%です。残念なことですが、私たちが毎日着用している衣料品のリサイクルは非常に遅れており、そのほとんどがごみとして焼却されているのが現状です。

衣料品のリサイクルが進まない理由は技術的な問題、生産・流通の問題と色々あるのですが、それらについては今後触れてゆきます。ここでは衣料品のリサイクルが非常に困難だとしたら、現在の私たちには何ができるのかを考えてみたいと思います。

先ず当たり前のことですが、手に入れた衣料品を大切に長く使うということです。使用期間を可能な限り伸ばすことで、全体の消費量を少なくすることができますし、結果として廃棄される衣料品も減らすことができます。繊維製品(衣料品)を製造・販売することを仕事にされている方(私自身も含めて)にとっては面白くない話ですが、衣料品の分野で環境に配慮した持続可能な世界(サステイナビリティ)を考える時には避けて通れないテーマです。ところが現実は全く逆の方向に進んでいます。

1990年の日本国内アパレル市場規模は数量で20億点、金額で15.3兆円でした。それが2016年には同40億点の10.4兆円となっています。(経済産業省製造局生活製品課資料より)この間に金額では約3分の2になっていますが数量では倍増しています。1991年を基準とした衣料品購入単価は60%程度に下落していると言われています。日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じていますから、前述の数字は「ここ30年あまりで、日本人は安価になった衣料品を今まで以上に大量に消費し、大量に廃棄している」ということになります。私自身にも思い当たる節があります。

確かにここ30年程度で衣料品の価格は劇的に安くなりました。だからといって大量消費・大量廃棄というのは環境に配慮したライフスタイルとは言えませんよね。衣料品は原料の生産から中間材料となる織編物の製造、染色仕上げ、縫製、流通と非常に多くのプロセスを経て私たちの手元に届きます。このため衣料品は製造時の環境負荷(エネルギー消費)が高い製品と言われています。また日本では廃棄されたごみのほとんどは焼却されます。焼却すればCO2が発生します。やはり消費者である私たちひとりひとりが対応を考えなければならないテーマなのです。

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