もったいない:衣料品リユースのすすめ、ガレージセールとか?
私が子供のころ(昭和30年代)、お尻にツギのあたったズボンをはいて走り回っていました。そのころはお尻にツギのあたったズボンは決して珍しいものではなく、少しも恥ずかしいとは思いませんでした。子供は毎年成長します。私には年子の弟がいるのですが、彼はよく私の「お下がり」を着せられていました。もっとも私のところにも、私より年長の親戚の子の「お下がり」が回ってきたりしたものです。これも珍しいことではなく、当たり前のことでした。私の母は和裁ができたので、着物の仕立て直しのようなこともしていました。和服はそもそも平面裁断でできており、解くと1枚の布に戻ります。再利用することが前提になっていました。当時はまだまだ経済的に余裕がなく、モノ(衣類)も豊富ではなかったので、あの手この手でモノを大切に長く使っていたのだと思います。みんなが環境に配慮すること(サステイナビリティ)を考えていたのではなく、生活防衛の手段としてそうしていたのですが、まさに「もったいない」を実践していたわけです。ところがいつの間にかそのような生活スタイルは影が薄くなり、前回述べたように大量消費・大量廃棄の生活スタイルに変わってゆきました。そういえば私の子供たちも「お下がり」にはあまり縁がなかったように思います。
前回、衣料品のリユース率は14%とご紹介しました。この内容は古着として国内で流通するものと、まだまだ物資が十分でない国々へ輸出されるものを含んでいます。このところ街中でも古着ショップが増えてきたように思いますが、流通しているものは高級品やキャラクター衣料、ビンテージ衣料のようなものが多く、一般衣料(大量生産品)のリユースは少ないように思います。古着の輸出はサイズの関係もありアジア諸国向けが多かったようです。ただアジアの国々もこのところ経済発展が著しく、徐々に日本古着への需要は減ってきているようです。このままでは国内で一般衣料のリユースが盛んになってゆくという状況にはないようです。
私は仕事の関係で、以前に家族と一緒にアメリカに住んでいました。その時、何度か私の自宅でガレージセールをしたことがあります。自宅のガレージ(車2台収納)で日本人駐在員家族(2~3家族)がそれぞれの不用品を持ち寄って販売します。駐在員ですから、帰国前になると色々と処分するものがでてきます。帰国するときに持って帰れる荷物には制限があり、そもそも日本に比べれば広いアメリカの家で使っていたものをそのまま日本へ持ち帰っても、サイズ的にも量的にも日本の家に納まるはずもありません。ガレージセールを開催する時には、先ずは日程を決めます。土曜日に実施することが多かったように思います。それからチラシを作って近隣の日本食スーパーや日本食レストランで掲示してもらいます。あとは口コミです。当日は持ち寄ったものに家族ごとに色を決めたシールを貼り、そこに価格を表示します。いろんなモノを販売するのですが、当然衣料品もあります。特に子供服は人気がありました。当日は午前10時の開店を予定していたとすると、8時ごろから家の近所がザワザワしてきます。表をのぞいてみると、既に開店をまっている人がいるのです。告知を掲示したのは日本食スーパーや日本食レストランで、あとは口コミなのですが、そうやって早くから来てくれるのは現地のアメリカ人でした。日本人の方はだいたい開店時間に合わせて来てくれます。一度アメリカ人のお客さんに「どうして早くから来てくれるのか?」と聞いてみたことがあります。答えは、「日本人のガレージセールはモノが良くて価格も良心的だ。特に帰国間際の家族が出店していると掘り出し物があるので楽しみだ。」ということでした。こちらとしては不用品の処分(現金化)と、数家族が集まった楽しいイベントという意味合いが強かったのですが、そうやって喜んでもらえるのであれば何よりということです。これは後から聞いた話ですが、日本人家族のガレージセールで仕入れたモノを高値で転売していた輩もいたようです。
広いガレージがあったから可能だったことではあるのですが、これもひとつのリユースの形です。帰国してから国内でフリーマーケットのような催しを目にすることもありますが、場所を確保することが簡単ではないようで、それほど頻繁に実施されているようには感じられません。(私が気付いていないだけかもしれませんが・・・)ガレージセールやフリーマーケットのようなカジュアルな形でリユースを促進できれば、これは意味のあることだと思います。最近ではインターネットを活用した古着の売買もあるようです。手間をかけずに出品、購入ができるというのは便利なことです。ただ古着ですから現物を確かめずに購入する場合には、売り手と買い手の信頼関係が重要です。