号外:投票へ行こう! タイム・トゥ・ボート(TTV:Time to Vote)

2016年には、世界の政治で私がびっくりしたことが2つ起こりました。英国がEU離脱を決めたことと、アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことです。他国の人間である私がとやかく言うことではないのかもしれませんが、当時の私は、この2つは絶対に起こりえないと思っていました。あれから4年が経過する今年、英国はEU離脱の移行期間に入り、アメリカ大統領選挙ではトランプ氏が再選を目指しています。

2020年2月26日付けSustainable Brand Japanに掲載された記事より、

“11月の米大統領選挙に向けて、停滞する投票率を上げようと、米国企業では従業員の投票を促す動きが加速している。2018年夏、パタゴニアが立ち上げた企業連合「タイム・トゥ・ボート(TTV:Time to Vote)」には、ウォルマートやPayPal、JPモルガン・チェース、ラルフローレン、ノースフェイス、リーバイ・ストラウスなど380社以上が参加する。Business for Americaの創設者サラ・ボンク氏は「民主主義が正常に機能し、有権者に解決策を提供できないようでは、ESG目標を達成できないことに一部の企業は気づき始めている」と話す。”

“若く、影響力のある環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏のメッセージを一言でまとめると「投票」だろう。「例え、求められているような政治が現在行われていなかったとしても、影響力を持った人たちが正しい行いをするように、私たちの持っている力を行使すべきです。民主主義とはそういうものです。民主主義において、国を動かすのは人々です。そうは見えないかもしれませんが、十分な数の人たちが、すでに私たちは多くのものを手に入れてきたと認識すれば、全てを変えてゆくことができます。投票はとても大きな力だということを忘れないでください。」(グレタ・トゥーンベリ氏)”

ここ数十年間、米国の投票率は低い。より多くの人々の関心を高める必要があると明らかになったのは、55%しか投票せず、二極化した2016年の選挙だ。米国の有権者にはどのような対策が効果的なのだろうか。米国では、仕事を休みにすることが有効な手段だろう。投票が義務付けられ、選挙が仕事に影響しない日曜日に行われる多くの国とは異なり、米国での投票への不参加の理由としてよく挙げられるのが、仕事や生活で忙しいというものだ。”

この問題に対処し投票者を増やすために、2018年には、パタゴニア主導のもと多様な企業が無党派の「タイム・トゥ・ボート(TTV:Time to Vote)」連合を結成した。「従業員が1日の稼ぎか投票のどちらをとるか選ばなければならないのはおかしい」という考えのもとに生まれた、投票を促進する企業主導のイニシアティブだ。具体的には、社内で期日前投票やメールでの投票に関する情報を発信し、注意を喚起するほか、投票日を有給休暇としたり、出勤しても会議をしないなどして投票に行きやすくする。2018年の中間選挙では、実際に効果があったようで、投票資格を有する半数以上の人たちが投票したようだ。ここ40年間で最も高い中間選挙の投票率だったという。”

“パタゴニアのローズ・マーカリオCEOは、「民主主義は単純に投票によって良くなります。自分の企業が投票へ積極的に関わる姿勢を見せることで、米国のビジネスは国の民主主義を守るものだということを伝えることができます。あらゆる分野のリーダーが健全な民主主義を重視する姿勢に勇気をもらっています。この流れが大きくなることを願っています。」と語っている。”

米国では、選挙の投票率が低迷していることに危機感をもった企業が主体となって、従業員の投票率を上げるための企業連合「タイム・トゥ・ボート」が活動しています。この組織は2018年にパタゴニアが立ち上げ、著名なファッション企業を含む多くの企業が参加しています。その背景には、民主主義が正常に機能しなければ(=人々が投票に行かなければ)、ESG目標の達成を含めた企業活動にも支障が出るという懸念があるようです。そう言えば、現在のトランプ大統領は地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を表明しました。その一方で多くの米国企業経営者は、「パリ協定は世界を繁栄させるための約束。米国はパリ協定に残るべきだ。」という共同声明を出しています。

グレタさんの国、スウェーデンでは18歳以上に選挙権があり、若者の投票率は80%を超えているとのことです。スウェーデンでは18歳になるまでに、政治について色々と学ぶ機会があるようで、そのことがグレタさん(まだ17歳のはずです)の発言にも表れていると思います。日本でも2016年から18歳以上に選挙権が与えられました。しかし一般的に日本の若者が政治に触れる機会はまだまだ少なく、政治や選挙(投票率)への関心はあまり高まっていないように感じます。日本の場合、残念なことですが、これは若者に限ったことではありません。

衆議院選挙の投票率推移

このグラフは衆議院議員選挙の投票率を表しています(総務省HPより)。最近の選挙の投票率は下記のようになっています。

2009年:69.28%、2012年:59.32%、2014年:52.66%、2017年:53.68%

グラフに見られるように、以前は70%前後の投票率で推移していましたが、残念ながらこのところ投票率は低迷しています。

みなさん、選挙の投票に行きましょう。投票に行かない理由は色々あるのでしょうが、投票しないということは、その時の政治状況を是認していることになります。1票(1人)の声は小さく、ボランティアで政治活動をする余裕はないかもしれませんが、日本の社会を、政治を少しでも良くしたいという私たちの意思を表明するために、是非とも投票に行きましょう。そうすることが、より良い政治を実現するための唯一の、最良の方法です。

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